コラム

妊娠初期の夏を元気に乗り切るために 食欲が出ない夏、赤ちゃんへの影響は?

公開日:2022年7月13日

記事監修:管理栄養士 松尾和美

じめじめとした梅雨が明けると、本格的な夏がやってきます。妊娠中、特に妊娠初期のつわりがある方は、夏の過ごし方をどうしたら良いのか、不安に思う方もいるのではないでしょうか。夏バテ対策をしたいものの、どのようにすれば良いか迷ってしまいますよね。今回は、妊娠中の夏の過ごし方についてのお話です。

そもそもつわりとは?ひどい場合は無理せず受診しましょう

つわりが起こる期間は妊娠4週目~12週目ごろが一般的で、妊娠中の過半数の妊婦さんが経験すると言われています。つわりのメカニズムは、ホルモンの急激な変化による体の生理的な反応と言われていますが、はっきりとしたことはまだわかっていません。匂いに敏感になったり、吐き気や嘔吐、空腹時に悪化するなど症状は人それぞれです。中には立って歩けないほど症状が強く、ずっと横になっているという方もいます。
一般的につわりは妊娠周期が進むにつれて治まってきますが、中には出産までつわりの症状が続く場合や、妊娠後期に症状が現れる後期づわりと呼ばれるものもあります。妊娠初期のころに多いつわりでは嘔吐の症状がある場合、体重は減ることが多いですが、逆に食べていないと気持ちが悪くなる「食べづわり」と呼ばれる症状で、体重が増加する場合もあります。受診の目安としては、ぐったりと寝込んでしまうことや、尿の量が減ったり飲み物が摂れない場合は脱水の恐れがあるため、早めに医療機関を受診しましょう。つわりが酷く、妊娠前の体重よりも5%以上減少がみられる場合、妊娠悪阻という状態で医療機関での治療が必要になりますので、無理をせず辛い時は受診しましょう。

つわりで食事が摂れない…赤ちゃんへの影響は?

つわりで食事が摂れていないと、おなかの赤ちゃんの成長に影響を与えているのではないか、と心配になってしまうかもしれません。しかし、妊婦さんにつわりがあっても、おなかの赤ちゃんの成長や発達にはほとんど影響がないとされています。つわりが起こるころの初期の赤ちゃんは、まだママの妊娠前に蓄えてきた栄養で十分に育っていけるので、無理をして食べなくても大丈夫です。
調子が良く、食べられるようであれば、赤ちゃんの発育に必要な葉酸の多い食材を取り入れましょう。おすすめはブロッコリーやアスパラガス・いちごなどです。サプリメントもうまく取り入れましょう。食べづわりの場合は空腹時に吐き気や気持ち悪さ等の症状が出やすいので、小さいおにぎりを用意する、飴を持ち歩くなど、こまめに食べることで気持ち悪さを回避しましょう。つわりを起こすきっかけとなる食べ物・におい・状況は人によって様々です。吐き気を引き起こす特定の食べ物を無理に食べる必要はなく、自分のつわりが起こりやすい状況を知り、なるべく避けるようにしましょう。

妊娠中は特に気をつけたい夏バテ対策

これから暑い季節になると、つわりの影響もあり、夏バテの症状になってしまう方もいるかもしれません。

夏バテの代表的な症状は下記です。
□体が重い・だるい
□やる気が出ない・無気力
□下痢・便秘
□イライラする
□体が熱っぽい・のぼせたように感じる
□頭痛
□むくみ

これらの症状ですが、妊娠中の症状やマイナートラブルと似ているところが非常に多いことが特徴です。例年は夏バテ知らずの方も、妊娠中体温が上がることや、ホルモンバランスの乱れと夏の暑さによる体の疲れが重なり、上に挙げたような症状が出る場合もあります。妊娠初期はつわりで食事量が減り、体力が落ちていること、後期になると疲れやすいことも夏バテに陥りやすい原因の一つです。
また、夏バテの原因の一つは暑さによる体温調節機能がうまく働かないことです。私たち人間は気温が高くなると、体にたまっている熱を外に逃がし、体温を一定に保とうとします。このときエネルギーを多く消費するため、体に負担がかかります。体が暑さに耐えられず対応できなくなると、自律神経に狂いが生じ、だるさや頭痛・食欲の低下などといった様々な症状が起こります。最近は冷房施設が整い、外は暑く建物の中は涼しすぎる傾向にあります。この温度差が自律神経の働きを鈍くし、これが夏バテの原因となってしまうのです。
妊娠中は基礎代謝が通常よりも上がっているため、いつもよりも疲れやすい状態です。さらに妊娠中は体温が上がるため、熱中症も起こしやすくなります。汗もかきやすくなるため、適度な水分補給が必要になります。

水分補給のコツ、意識して摂りたい栄養素とは

水分を摂る時のポイントをまとめました。

1.ミネラルウォーターやお茶で少量ずつ、こまめに補給しましょう。

妊娠中は特に、清涼飲料水を飲みすぎると血糖値が上がりやすく、妊娠糖尿病の恐れもあります。また糖質を摂りすぎるとビタミンB群の消耗も早めるため、つわりでこれしか飲めない、という場合以外は、甘さのある飲み物は控えるようにしましょう。

2.冷たい飲み物の飲みすぎは胃腸を冷やし、消化液を薄めて栄養の消化・吸収を悪くします。

胃腸が弱って食欲がない場合は、できるだけ温かい飲み物で補給しましょう。

3.のどが渇いてから飲むのではなく渇く前に飲みましょう。

妊娠中はむくみやすいと言われます。特に手足がむくみやすくなります。これは体内の血液と水分のバランスが崩れやすいために起こる現象なのですが、むくみが気になるから、と水分を控えすぎてしまう妊婦さんもいます。実は水分が足りていないのもむくみの原因となります。脱水症状を起こさないためにも、およそ1.5ℓを目安に、いつもよりも意識的に水分を摂るようにしましょう。むくみ対策としては、こまめにマッサージをすることや、適切な運動や食生活を通じて、水分を排出することを意識しましょう。おすすめなのはカリウムを多く含む食べ物です。りんごやバナナなどの果物・アボカド・ほうれん草・きゅうり・なす・モロヘイヤ・海藻類・豆類など、様々な食材に多く含まれます。
また、夏バテによる食欲不振でだるさや疲労を感じるときは、ビタミンB1不足が考えられます。ビタミンB1には、炭水化物に含まれる糖質をエネルギーに変える酵素を助ける働きがあります。ビタミンB1によってエネルギーがスムーズにつくられることで、疲労回復や精神を安定させる働きが期待できます。
ビタミンB1は豚肉や玄米・大豆・ウナギなどに多く含まれています。なかなか食べられない時はサプリメントから摂ることもおすすめします。

 

妊娠中つわりがあると水分や食事が十分に摂れない場合もあり、おなかの赤ちゃんに栄養が足りているか心配になってしまうことも多いでしょう。前述した通り、この時期はママの栄養不足がおなかの赤ちゃんに影響することは少ないですが、水分が十分に足りていない場合や食事が長期間にわたって食べられず大幅に体重が減少している場合は、無理をせず早めに医療機関を受診しましょう。
妊娠中の夏の時期は室内と外の急激な寒暖差や、水分が奪われやすいこと、自律神経の乱れなど、様々な原因で体調を崩してしまいがちです。水分をしっかり摂って食べられるものを食べて乗り切りましょう。

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この記事の監修者:松尾和美

保有資格

・管理栄養士
・野菜ソムリエ
・美肌食アドバイザー
・栄養療法ダイエットアドバイザー
・ベジフルビューティーアドバイザー
・ファスティングマイスター
・薬事法管理者
・コスメ薬事法管理者

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