コラム

産後、授乳期にも不足しやすい?カルシウムの効率的な摂り方について

公開日:2022年11月2日

記事監修:管理栄養士 松尾和美

妊娠中はお腹の赤ちゃんが育つために、ママの体の中に蓄積されているカルシウムを赤ちゃんへあげるので、ママの歯や骨がもろくなりやすいというお話は耳にされたことがあるかと思います。しかし実は産後の授乳期にも、ママのカルシウムを赤ちゃんへ母乳を通じてあげることになるため、ママは妊娠中と同様にカルシウムが不足しやすくなることをご存知ですか?今回は、産後のカルシウムを効率良く摂取するポイントについてのお話です。

知っているようで知らない、カルシウムとは?

カルシウムと言えば、骨・歯を丈夫にするのに必要、というイメージが強いのですが、実はあまり知られていないとても大切な働きがあります。その働きとは、筋肉を動かす(筋肉の収縮)、脳の指令を伝える、出血した時に血液を凝固させる、などです。骨や歯だけではなく、実は私たちの生活に欠かせない体の動きをアシストしてくれるカルシウムは、とても重要なミネラルの1種であることがわかりますね。体に蓄積されているカルシウムのうち、全体の99%は骨・歯に存在しますが、残りの1%は血液や神経、筋肉などに存在しています。血液や神経、筋肉などに存在するカルシウムが不足すると、歯や骨に蓄積しているカルシウムから補充して使われるため、結果として骨密度が低下したり、歯がもろくなったりします。骨密度が低下すると、骨粗しょう症の原因になります。

妊娠中から産後のカルシウムの必要量について

日本人の食事摂取基準2020年版によりますと、妊娠中から産後(授乳期)には付加量が定められている鉄・葉酸・たんぱく質などとは異なり、カルシウムの摂取量について妊娠中と非妊娠中の差はありません。18歳~49歳の女性は、妊娠中も産後もカルシウムの必要量は一律で、650mg/日と定められています。では、実際に私たちはどれくらいカルシウムを摂取できているのでしょうか?2019年実施の国民健康・栄養調査結果を参考に、日本人女性の平均的なカルシウム摂取量は、15~19歳では462mg/日、20~29歳では420mg/日、30~39歳では421mg/日、40~49歳では445mg/日でした。必要量である650mg/日と比較すると、どの年代も少なくとも約200mgは不足していることがわかります。そもそも私たちがよく食べる和食には乳製品を使ったメニューが少ないことや、食の欧米化により魚料理を食べる頻度が減ったことも、カルシウム不足になりやすい原因として挙げられます。

産後にカルシウムを効率良く摂るポイント

カルシウム含有量が多い食材を食べる

カルシウムの多い食材には、骨まで丸ごと食べられる魚の代表であるしらす、牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品全般、豆腐などの大豆製品が挙げられます。特に牛乳を濃縮させて作るチーズは、同じ量の牛乳に比べると、カルシウムの含有量もとても多くなっています。おおよその目安ですが、チーズひとかけらで牛乳1杯分ほどのカルシウムを摂ることができるので、おやつとして食べたり、スープやおにぎりに混ぜたり、様々な料理にアレンジして日常の食事に取り入れましょう。

ビタミンDが摂れる食材と一緒に食べる

カルシウムの吸収率をアップさせる栄養素に、ビタミンDがあります。多く含まれる食材として最も有名なのは、しいたけなどの菌類です。特にしいたけは天日で干すことで栄養価がアップするので、乾燥椎茸などを料理に取り入れるとより良いですね。保存食としても便利ですし、戻し汁を出汁としても使えるので、菌類そのものを食べるだけではなく、味噌汁やスープなどにも活用できます。ビタミンDは、日光を浴びることによって皮膚で合成される特徴もあるビタミンです。なかなか産後は外に出づらいですが、一日10分のベランダでの日光浴でも良いので、太陽の光に当たるようにしましょう。

カルシウムの吸収率を下げる食材を食べすぎないようにする

一方で、せっかく摂取したカルシウムの吸収を阻害する栄養素もあります。それはリンです。肉やインスタント食品にはリンが多く含まれますが、リンを過剰に摂取するとカルシウムの吸収が阻害されると言われています。産後は時間がなく、つい簡単なインスタントラーメンを食べてしまいがちですが、カルシウムの吸収を考えると、程々にいただく方が良さそうですね。

 

カルシウムは非妊娠中と比べて付加量が設定されていないこともあり、鉄や葉酸などと比べると病院などでも指導される機会が少ないかと思います。しかし、妊娠前からカルシウムの摂取量が少ない可能性があるため、特に母乳で育児をしているママにはしっかりと摂っていただきたいです。そうは言っても産後は赤ちゃんのお世話で忙しく、なかなか食事から完璧にカルシウムの必要量を摂ることが難しいかもしれません。そこで葉酸などと同様に、カルシウムのサプリメントを活用していただくのもおすすめです。

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この記事の監修者:松尾和美

保有資格

・管理栄養士
・野菜ソムリエ
・美肌食アドバイザー
・栄養療法ダイエットアドバイザー
・ベジフルビューティーアドバイザー
・ファスティングマイスター
・薬事法管理者
・コスメ薬事法管理者

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