妊娠中の鉄不足、セルフチェックしてみましょう!
公開日:2023年4月19日
記事監修:管理栄養士 松尾和美
妊娠すると、病院の妊婦健診の血液検査でも調べる項目の一つである鉄。なぜ妊娠中は鉄が必要だと言われるのかご存知ですか?もし鉄が不足したら赤ちゃんに影響はあるのでしょうか。また自分は鉄分が足りているのか気になりますよね。今回は、今日できる鉄不足セルフチェック、そして妊娠中におすすめの鉄含有の食材について解説します。
妊娠中に鉄が必要な理由とは?
妊娠中はお腹の中で赤ちゃんを育てるために、血液の量が大きく増加します。血液は大きく2つに分けると、液体の血漿と固体のヘモグロビンでできています。血漿を川と例えるとヘモグロビンは船で、このヘモグロビンが全身に酸素を送る役割をしています。ただ、妊娠して血液量が増えると言っても、川である血漿の水かさが増えるほど、船であるヘモグロビンは増えないため、その状態では全身に酸素がたくさん運べません。これが妊娠中によく見られる鉄欠乏性貧血です。ヘモグロビンをたくさん作るためには材料である鉄を摂る必要があります。
また赤ちゃんが育つにつれてさらに鉄が必要となることから、妊娠初期よりも後期と、妊娠が進むほど鉄の必要量が増えます。そのため、妊娠中の女性は鉄が不足しやすいと言われています。成人女性(月経あり)の1日に必要な鉄の推奨量は10.5mgであり、妊娠初期の場合は推奨量10.5mg+2.5mg、妊娠中期・後期となると推奨量10.5mg+15.0mgもの鉄が必要になります。
あなたは鉄不足、大丈夫?セルフチェックしてみよう
簡単にできるセルフチェックをやってみましょう。なお、あくまでもセルフチェックですので、気になる場合は必ずかかりつけ医にご相談ください。
生活編
□1日の中で食事を抜くことがある
□妊娠前にダイエットをしていた
□妊娠中もダイエットを意識している
食事編
□普段から赤身肉をあまり食べない
□普段から魚の血合肉をあまり食べない
□普段からほうれん草・小松菜をあまり食べない
行動編
□息切れがすることがある
□立ちくらみすることがある
□無性に氷を食べたくなることがある
□爪がスプーン状に反っている
いかがでしたでしょうか?当てはまるものが多いほど鉄不足のリスクが考えられます。一般的に臨床栄養学では貧血がある場合、無性に氷を食べたくなったり、立ちくらみ、爪の湾曲(スプーンネイルと呼ばれています)などが見られます。またそういったことはないけれど、普段から食事を抜く習慣があったり、肉や魚をあまり食べない場合は、妊娠が進むとより貧血になる可能性があるので、意識してバランス良く食べるようにしましょう。
妊娠中に摂りたい鉄が含まれる食材とは?
貧血を予防するためには、ヘモグロビンの材料となる鉄を含むたんぱく質性食材や野菜類はもちろんですが、鉄の吸収率をアップさせるサポーター的な存在である、ビタミンCが含まれた食材の摂取も大切です。具体的に鉄分を摂るには、牛肉・肉のレバー類・カツオやマグロなどの赤身の魚・ほうれん草や小松菜がおすすめです。また、鉄の吸収率をアップさせるサポーターであるビタミンCは、黄パプリカ・赤パプリカ・じゃがいも・ブロッコリーなどの野菜類、いちごやレモンなどの果物類があります。このように肉や魚など動物性の食品と、野菜などの植物性食品をバランス良く組み合わせて食べることがポイントです。妊娠中は免疫力が落ちており食中毒にかかりやすいので、肉や魚は必ずしっかりと加熱してから食べてくださいね。
その他、鉄製の鍋やフライパンを使用すると鉄の補給ができますので、調理器具を変えてみるのも一つの手です。鉄の鍋やフライパンは重くて焦げやすいので避ける方も多いのですが、直径の小さいフライパンや、鉄製でも焦げにくい加工のものを選んでいただくとハードルが下がりますよね。今では鉄の玉も販売されていて、炊飯器や鍋に入れるだけで良いので手軽に使用することができておすすめです。
妊娠中には貧血に気をつけなければいけないとわかってはいても、特に何もしていないという方も多いと思います。今回の鉄不足セルフチェックで気づきがあった方もいるのではないでしょうか。妊娠中に急にふらついてしまったら危険です。妊娠中は意識して、鉄やビタミンCが含まれる食材を日常的に摂れるようにしていただくと、ご自身にとっても赤ちゃんにとっても安心ですね。
この記事の監修者:松尾和美
保有資格
・管理栄養士
・野菜ソムリエ
・美肌食アドバイザー
・栄養療法ダイエットアドバイザー
・ベジフルビューティーアドバイザー
・ファスティングマイスター
・薬事法管理者
・コスメ薬事法管理者