妊活中に取り入れたい大豆の栄養素「大豆イソフラボン」
公開日:2022年9月7日
記事監修:管理栄養士 松尾和美
健康を意識する方たちの間で話題の大豆製品。日本の和食の代表である味噌汁では、大豆を発酵させて作る豆味噌を使っていますし、具材として入れる豆腐も大豆製品の1つです。また、豆乳は「牛乳と比べてヘルシー」「味があっさりしているから好き」などと、特に女性には大人気で、最近は街中のカフェでも牛乳を豆乳に変更することができることも多く、日常で取り入れやすい食材ですね。今回は、そもそも大豆に含まれる栄養素とはどんなもの?大豆が妊活に良いらしいって聞くけど、実際どうなの?という疑問についてのお話です。
大豆に含まれる栄養素は?
大豆は別名「畑の肉」と呼ばれるほど、栄養価の高い食材です。たんぱく質・炭水化物・脂質・ビタミン・ミネラル・大豆イソフラボン・サポニンなど、あらゆる栄養素が含まれています。大豆には、実に多くの栄養素が含まれていることがわかっていただけたでしょうか。中でも今回のキーワードとなる成分、「大豆イソフラボン」について解説します。
大豆イソフラボンとはポリフェノールの1種で、大豆全体のうち、大豆胚芽という部位に多く含まれる成分です。女性ホルモンの1つであるエストロゲンと形が似ていることから、自然界のエストロゲン、または植物性エストロゲンなどとも呼ばれています。
エストロゲンは、「卵巣内の卵胞を成熟させて卵子を育て、排卵に備える」「子宮内膜を厚くし、受精卵の着床を準備する」「周期的に生理を起こす」などの働きがあり、妊活を考える方には大事なホルモンです。また他にも自律神経を安定させる、新陳代謝を促進しお肌や髪を綺麗にするなど、嬉しい効果もあります。
妊活と大豆について
大豆が妊活中におすすめと言われる理由とは?
妊活を意識した方に摂って欲しい栄養素として、主にたんぱく質・食物繊維・ビタミン・ミネラル、そして大豆イソフラボンがあります。大豆にはこの全てが豊富に含まれるのです。
たんぱく質は皮膚や髪の毛、爪、筋肉、そして妊活に極めて大切な血液やホルモンの原料です。肉や魚に含まれるたんぱく質が動物性たんぱく質と呼ばれるのに対して、大豆に含まれるたんぱく質は植物性たんぱく質です。動物性と比べて脂質が少なく、ヘルシーで女性におすすめです。
また大豆には、ビタミンB1・B2・C・E・Kなどのビタミンが豊富です。ビタミンは一般的に、口から食べた食材を体の必要な部位に届けるときの、サポート役として必要です。妊活中は特に十分な血液を子宮に届けることが必須のため、血流が滞りなく循環するために抹消血管の拡張をサポートする、ビタミンEは欠かせません。
さらに大豆に多く含まれるイソフラボンは、前述のように女性ホルモン様の働きをします。ホルモンバランスを整える働きがあるため、妊活中の女性の皆様にはぜひ摂ってほしい成分の1つです。余談ですが、更年期障害が気になる方にも大豆イソフラボンはおすすめです。やはり、それだけ女性ホルモンに似た働きをするというのが、この大豆イソフラボンなのです。
妊活中の大豆イソフラボンの摂取量について
大豆イソフラボンが女性ホルモン様として働くと聞くと、大量に豆乳を飲もうとする方が稀にいますが、妊娠希望の場合にどれだけイソフラボンを摂取しても良いか?と言うと、そういうわけではありません。実は、内閣府の食品安全委員会では過剰摂取への喚起がなされていて、1日の大豆イソフラボンの上限量は、70~75mgとして定められています。この量は豆腐1丁(300g)分、または納豆2パック分、または無調整豆乳200mlパック2本分です。覚えておきましょう。
大豆イソフラボンを適切に摂取するためには?
最近では大豆イソフラボンを凝縮したサプリメントが出回っています。大豆イソフラボンにフォーカスして摂取する場合、サプリメントはおすすめです。しかし、大豆製品には前述のように、植物性たんぱく質他、食物繊維やビタミン、ミネラルなど良質な栄養素が含まれる食材であるため、サプリメントよりも食材から摂取する方が、大豆イソフラボン以外の栄養素も併せて摂ることができるため、妊活を考える方にはおすすめです。どうしても食事から摂ることが難しい場合などはサプリメントを併用し、過剰摂取に注意しましょう。
管理栄養士おすすめの大豆製品
豆味噌
大豆の効果に加え、発酵食品なので整腸作用もありおすすめです。蒸した大豆を丸めて、豆麹として長期間熟成して作られます。米を原料にした米味噌は長時間高温で煮込むと風味が落ちますが、大豆を原料に作られた豆味噌は煮込んでも風味が落ちにくく、美味しさを保つことができると言われています。手間はかかりますがお家でも作れるので、ぜひチャレンジしてみてください。
豆乳
豆乳は、最近はコンビニなどでも買えるので、忙しい方にも取り入れやすいですよね。豆乳には砂糖などを添加し飲みやすくした調整豆乳と、添加していない無調整豆乳があります。味のまろやかさ、飲みやすさでいうとダントツで調整豆乳ですが、添加物の少なさから健康面を考えると、無調整豆乳を飲んでいただくことをおすすめします。無調整豆乳ににがりを添加して豆腐が作られます。また、無調整豆乳をぐつぐつと煮込んだ時にできた膜が、湯葉と呼ばれる食べ物です。
豆腐
豆腐もスーパーなどで手に入りやすいので、毎日でも食べて欲しい食材です。豆腐は前述のように、70~80℃に温めた無調整豆乳に、にがり(塩化マグネシウム)を添加して、重石を乗せて固めて作られたものです。豆腐には木綿豆腐と絹豆腐の2種類があります。木綿豆腐は無調整豆乳ににがりを入れて、布を被せて重石をし、絞って水分を抜いたもので、ずっしりした固さと重さがあります。一方で絹豆腐は、木綿豆腐よりも濃い無調整豆乳を使用して作られ、水分を絞ることなくそのまま固めて作るため、もろく崩れやすいのが特徴です。木綿豆腐の方が絹豆腐より、少したんぱく質などの栄養素が多いです。
納豆
納豆は大豆を発酵させて作ったものです。納豆菌の発酵が進むと、大豆を分解したり合成したりすることでアミノ酸が作られ、それにより味がつきます。ご飯にかけてもおいしく、ネギや海苔をかければ即席で立派な1品になるため、妊活中で忙しい方にはおすすめの、ぜひ常備していただきたい大豆製品です。
健康ブームで話題の大豆製品ですが、実は妊活中の方にも必要な成分、大豆イソフラボンを始め、他にもさまざまな栄養素がぎゅっと詰まっています。ぜひ明日から、食卓に大豆製品を取り入れてみてください。ただし、1日の摂取量には上限があるため、サプリメントを併用される方は注意してくださいね。
この記事の監修者:松尾和美
保有資格
・管理栄養士
・野菜ソムリエ
・美肌食アドバイザー
・栄養療法ダイエットアドバイザー
・ベジフルビューティーアドバイザー
・ファスティングマイスター
・薬事法管理者
・コスメ薬事法管理者