コラム

ママも赤ちゃんも意識して摂りたいミネラル「亜鉛」その働きとおすすめの摂り方

公開日:2022年11月24日

記事監修:管理栄養士 松尾和美

10ヶ月という期間、お腹の中で赤ちゃんに栄養を与えて育て、さらに赤ちゃんが生まれたその日から授乳がスタートするため、必然的に妊娠・出産を経たママは、通常に比べると栄養をしっかりと摂る必要があります。産後に必要な栄養は、たんぱく質・炭水化物・脂質・ビタミン・ミネラルなど多岐にわたりますが、中でも厚生労働省が取り決めている、1日の必要量に加えてさらに付加量の設定がある栄養は、より意識したいですね。今回はその中でも『亜鉛』について解説します。

産後にママも赤ちゃんもしっかりと摂りたい「亜鉛」

亜鉛はどんな栄養素?どんな働き?

亜鉛はミネラルの一種で、私たち人間の全身の細胞内に存在しています。亜鉛は免疫システムにも必要な栄養素で、侵入してきた細菌やウイルスを防御する働きを助けたり、たんぱく質や、細胞の中にある遺伝物質を合成するためにも必要です。特に赤ちゃんは細胞分裂を次々と行うことで体が成長しますので、そのためにも亜鉛が必要なのです。また、傷の治癒にも亜鉛が不可欠で、不足すると赤ちゃんのおむつかぶれや皮膚の炎症などが治りにくくなると言われています。さらには味覚や臭覚にも重要だとも言われています。まさに亜鉛は、あらゆる場面で必要なミネラルだと言えますね。

産後・授乳中に必要な亜鉛の量は?

厚生労働省が掲げる日本人の食事摂取基準2020年版によりますと、亜鉛の必要量は成人女性で1日当たり8mgとなっており、さらに授乳中の場合は付加量の設定があるため、1日当たり12mgとなります。母乳を通じて赤ちゃんへ必要な栄養素が送られますが、亜鉛もそのうちの1つです。よって母乳育児をしているママは、ミルクのみで育児をしているママに比べると、より意識して亜鉛を摂る必要があると言えます。

赤ちゃんに必要な亜鉛の量は?

生後6ヶ月までの赤ちゃんでは1日当たり2mg、生後7~12ヶ月の赤ちゃんでは1日当たり3mgの亜鉛が必要です。粉ミルクを与えた場合、メーカーによってやや含有量は異なりますが、ミルク100ml当たりに亜鉛が0.5~1.5mgほど含まれるため、1日250mlから400mlのミルクで赤ちゃんに必要な亜鉛は賄うことができます。1日2mgであれば母乳でほぼ賄うことができますが、生後7ヶ月からは1日当たり3mgが必要なので、不足しやすくなると言われています。完全母乳にこだわりすぎず、粉ミルクを活用することも、赤ちゃんの健やかな成長に良いかもしれません。

『亜鉛』の多く含まれる食材と効率的な摂り方は?

亜鉛が含まれる食べ物とは?

亜鉛が多く含まれている食べ物としては、牡蠣が有名です。他には煮干し、たらこ、ほたて、うなぎ、豚レバー、鶏レバーなど動物性の食材に比較的多く含まれます。植物性の食材では、切り干し大根、きなこ、蕎麦などに含まれますが、やはり動物性の食材と比べると少ないと言えます。それぞれの食材100g当たりの含有量から、1日に必要な亜鉛12mgが摂れる量を算出しました。

・牡蠣:100gほど
・煮干し:150gほど
・たらこ:400gほど(ただし、塩分などに注意が必要です)
・ほたて:500gほど
・うなぎ:500gほど
・レバー類:400gほど

牡蠣がもっとも亜鉛の含有量が多いです。生牡蠣は食中毒のリスクが高く、産後は疲れやすく免疫力が下がっていることもあるため、基本的には加熱した状態で食べていただくことをおすすめします。

亜鉛の吸収率がアップする栄養素とは?

せっかく亜鉛が含まれる食材を食べるならば、吸収率が上がるほうが嬉しいですよね。そこで、亜鉛の吸収率がアップする栄養素をご紹介します。その栄養素とは、ビタミンCとクエン酸です。
ビタミンCは、野菜では赤パプリカ、黄パプリカ、ピーマン、じゃがいもなどに多く含まれており、特にじゃがいもは年中手に入りますし、栄養素がでんぷんで包まれている分熱に強く、加熱調理をしてもビタミンCが減りづらいため、おすすめです。
クエン酸はレモン、梅干し、キウイ、グレープフルーツなどに多く含まれています。クエン酸は亜鉛の吸収率をアップさせるだけではなく、疲労物質である乳酸を素早く分解するのにも有効なので、育児で疲れているママはぜひこれらも意識して摂ってくださいね。

お手軽に亜鉛を摂る方法

亜鉛が多く含まれる食材は、調理の手間がかかるものが多いのが難点です。そこで、手軽に亜鉛を摂るのにおすすめなのが、缶詰を利用することです。特に1番亜鉛が多く含まれる牡蠣は、缶詰がスーパーでも手に入りやすいため、常備しておくと良いですね。水煮されているもの、アヒージョになっているもの(オリーブオイルベース)、佃煮になっているものなどさまざまな缶詰があります。水煮の牡蠣はミルクベースのスープや味噌汁の具として、ちょい足ししていただくとお手軽です。さらに、佃煮のものは白いご飯に載せて食べる、ほうれん草などの葉野菜と一緒に炒めるなど、おかずとしてアレンジがしやすくておすすめです。アヒージョはバケットと一緒に食べるなど、簡単で見た目もおしゃれな逸品になります。産後、料理をする時間がない中でも缶詰を利用することで、ぐっとハードルが下がります。

 

亜鉛は体の全身に分布しており、赤ちゃんの成長や皮膚トラブルの防止、免疫にも関わるということがわかっていただけたでしょうか?こういった理由から、亜鉛は産後、特に母乳育児をしているママには意識して摂っていただきたいです。赤ちゃんのお世話につきっきりになり、なかなか料理をする時間もないかもしれませんが、ご紹介したように缶詰を活用することで時短になりますし、効率良く吸収するためにもビタミンCやクエン酸を含む食材と、併用して食べていただくとより良いですね。

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この記事の監修者:松尾和美

保有資格

・管理栄養士
・野菜ソムリエ
・美肌食アドバイザー
・栄養療法ダイエットアドバイザー
・ベジフルビューティーアドバイザー
・ファスティングマイスター
・薬事法管理者
・コスメ薬事法管理者

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