コラム

妊娠中、適正に体重を増やすための食生活とは?

公開日:2023年12月26日

記事監修:管理栄養士 松尾和美

妊娠したら気になる体重増加。「お腹の赤ちゃんのためにしっかりと栄養を摂りましょう」と聞くため、しっかり食べていたら体重が増えすぎて、「体重増加のしすぎには注意しましょう」と言われてしまった、という経験のある妊婦さんも多いですよね。一体、体重はどれくらいまで増えても大丈夫なのでしょうか?そして、どのような栄養素を摂ったら良いのでしょうか?今回は適正な体重の増加について、そして妊娠中に摂りたい栄養素について、管理栄養士が解説します。

適正な体重増加とは?

妊娠中の適正な体重の増加については、妊娠がわかった時のご自身の体重とBMIを知るところから始めます。BMIとはBody Mass Indexの略で、[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で計算することができます。例えば体重50kg・身長160cmの場合は、BMIは19.5となります。このBMIの値によって、適正な体重増加数が変わってきます。妊娠すると体全体で浮腫みが生じ、血液量も増加し胎盤も作られるために、これだけでおおよそ5kgは増えると言われています。その上で各BMIによる、体重の適正な増加数を知ってください。

妊娠時のBMIが18.5未満の場合

低体重(痩せ)の部類となります。あまりにも母体が痩せている場合、赤ちゃんも低体重になる可能性、出産時に母体の体力が持たない可能性、などの懸念があると言われています。妊娠中に、12~15kgの体重増加を目安に考えましょう。

妊娠時のBMIが18.5~25.0未満の場合

標準体重の部類となり、最も病気になりにくいBMIと言われています。この場合の体重増加の目安は10~13kgです。

妊娠時のBMIが25.0~30.0未満の場合

肥満度(I)に当たります。この場合の体重増加の目安は7~10kgです。

妊娠時のBMIが30.0以上の場合

肥満度(Ⅱ)に当たります。ここに当てはまる方は、体重が大きく増加しないように、担当の医師に相談しながら様子を見ることが大切です。あまりにも体重増加が大きいと、帝王切開となる懸念があると言われています。

妊娠中の食事は質が大切!意識したい栄養素

前述では体重増加について数字的な点について触れましたが、ただ妊娠中に好きなものを食べて体重が増えれば良い、逆に食べないで体重を減らせば良い、という訳ではありません。妊娠中だからこそ、赤ちゃんへの栄養も考えながらしっかり食事を摂ることが大切です。特に赤ちゃんの体の元となる、たんぱく質はきちんと食べましょう。他には、妊娠中に通常の必要量に加えて付加量が設定されている、ビタミンやミネラルについても意識をして摂る必要があります。

たんぱく質

たんぱく質は赤ちゃんの体の元となりますし、ご自身の血液や筋肉、ホルモンなどの原料となるため、妊娠中は特に意識して摂りたいですね。具体的には肉類・魚介類・乳製品・卵・大豆製品など。動物性たんぱく質の肉類・魚介類・乳製品・卵と、植物性たんぱく質の大豆製品の両方をバランス良く食べるようにしましょう。ただし、マグロ・キンメダイなど体内の水銀濃度量が高い魚介類は、赤ちゃんへ影響が懸念されるため、食べすぎないようにしてください。

ビタミン

ビタミンB1・2・6・12・葉酸・ビタミンCには付加量が設定されています。これらは水溶性ビタミンのため、1度にまとめて摂っても体内に貯めておくことができません。そのため毎日、可能であれば毎食、こまめに摂っていただくことが大切です。葉酸については妊娠中の摂取量が不足すると、お腹の中で赤ちゃんの脳や脊髄などの中枢神経系の元となる神経管が作られる際に発症する、先天異常である神経管閉鎖障害のリスクが高まるため、妊娠初期から特に意識して摂る必要があります。具体的に各栄養素が含まれる食材をご紹介します。
葉酸はほうれん草・小松菜・ブロッコリーなど、緑の野菜に多く含まれます。
ビタミンB1は豚肉・うなぎ・カツオ・鮭などに多く含まれます。
ビタミンB2は肉のレバー・卵・アーモンドなどに多く含まれます。
ビタミンB6はしじみ・アサリ・イワシ・ブロッコリー・モロヘイヤなどに多く含まれます。
ビタミンB12はチーズ・肉のレバー・のり・あおさなどに多く含まれます。
ビタミンCは赤ピーマン・黄ピーマン・ブロッコリー・じゃがいも・柿などに多く含まれます。

ミネラル

妊娠中は鉄・亜鉛・マグネシウムなどのミネラル類に、付加量が設定されています。ミネラルもビタミン同様に、妊娠中はお腹の赤ちゃんのために意識して摂る必要があります。具体的に各栄養素が含まれる食材をご紹介します。
鉄は肉のレバー・肉の赤身・魚の血合・ほうれん草・小松菜などに多く含まれます。ビタミンCと一緒に摂ることで吸収率が上がるため、ビタミンCが含まれる食材と一緒に調理していただくことをおすすめします。
亜鉛は牡蠣・うなぎ・海苔などに多く含まれます。
マグネシウムはエビ・カニ・あおさ・わかめなどに多く含まれます。

つわりで食べられない時は?

これまでに、妊娠中に摂る必要がある栄養素と、それらが含まれる食材についてご紹介しましたが、妊娠中、特に初期はつわりがある方も多いのではないでしょうか。つわりがあると水さえ飲めないという話もよく聞きます。そこで、食事から摂ることは確かに理想ではありますが、難しい時はプロテインやサプリメントに頼るのも大切です。
プロテインはそもそも筋肉をつける目的で飲む方が多いのですが、妊娠中に必要なたんぱく質を補うのにも大変おすすめです。バニラやココアなどの甘いフレーバーから、コーンポタージュなどの塩分が入ったフレーバーなどさまざまなものがありますので、つわり中でも飲むことのできる味を探してみてくださいね。
サプリメントは錠剤タイプのものからゼリーやグミ、粉タイプ、ドリンクタイプまで幅広くありますので、その時々の体調に合わせて選んでみてくださいね。錠剤タイプですと比較的匂いが少ないためさっと飲みやすく、ゼリーやグミや液体タイプですとおやつ代わりにも食べられます。

 

いかがでしたでしょうか?妊娠中の体重管理や必要な栄養素について、断片的に聞いたことがあるけれどよくわからない…という方のために、妊娠中の体重増加や必要な栄養素全般についてまとめました。まずはご自身の体重とBMIの計算からしていただき、臨月までにどれくらい体重増加をしていれば適正なのか?を把握した上で、必要な栄養素を食事やプロテイン、サプリメントで摂るようにしてみてくださいね。

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この記事の監修者:松尾和美

保有資格

・管理栄養士
・野菜ソムリエ
・美肌食アドバイザー
・栄養療法ダイエットアドバイザー
・ベジフルビューティーアドバイザー
・ファスティングマイスター
・薬事法管理者
・コスメ薬事法管理者

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