コラム

産後は歯周病になりやすい?お口のトラブルを防ぐ食生活について

公開日:2021年12月27日

記事監修:管理栄養士 松尾和美

妊娠するとホルモンバランスが変わること、つわりで歯みがきもままならないことなどが相まって、虫歯や歯周病のリスクが高まると言われています。産後は赤ちゃんのお世話で歯医者へ行くこともなかなかできず、気づいたら悪化していた、という話も良く聞きます。
今回は、産後の虫歯や歯周病などのリスクを軽減できるような食生活について、ご提案させていただきます。

虫歯や歯周病のリスクは妊娠中すでに高まっていた!

妊娠がわかったときに受け取る母子健康手帳。その母子健康手帳の中にも「妊娠中と産後の歯の状態」の項目に、「むし歯や歯周病などの病気は妊娠中に悪くなりやすいものです。 歯周病は早産等の原因となることがあるので注意し、歯科医師に相談しましょう。」という内容が明記されています。「妊娠したら歯科健診を受けましょう」「出産後も歯科健診 を受けましょう」と、産婦人科で聞いた方も多いでしょう。妊娠するとホルモンバランスが変わりますし、通常は雑菌の繁殖を抑える働きのある唾液も減少するため、それだけで虫歯や歯周病などのリスクも上がると言われています。妊娠初期はつわりで何度も食事をすることや、歯ブラシを口の中に入れることさえ苦しくて、きちんと歯みがきができないことも多くなり、悪化してしまう方もいます。そして産後は頻回な赤ちゃんへの授乳やおむつ交換などあり、ママはゆっくりと丁寧に歯みがきをする時間や歯科検診に行く余裕もなかなか作れず、どんどん虫歯や歯周病になりやすい環境となってしまうのです。

母乳育児は栄養を赤ちゃんに与える!だからこそより多くのたんぱく質やカルシウムが必要です

母乳育児をしていると、必然的にママは自分の栄養を赤ちゃんに与えることになります。その栄養の1つにたんぱく質とカルシウムがあります。歯はカルシウムを主成分としています。正確に言いますと、カルシウムは心臓を動かしたり筋肉を収縮させるのに必要な栄養素で、その大部分を歯や骨に貯蔵しています。ですので、カルシウムの摂取量が消費量を下回ると、貯蔵していた歯や骨から少しずつ溶かして心臓や筋肉のために使われることになるため、歯や骨がもろくなりやすいと言われています。そして、歯を支える土台である歯茎はたんぱく質を主原料として作られます。しかしこのたんぱく質は母乳の材料でもあるため、ミルク育児に比べて母乳育児をしているママの場合はよりたんぱく質が必要となります。

1.産後のママのカルシウムの必要量と含まれる食材

日本人の食事摂取基準2020によると、授乳中のママに対して付加量は設定されておりませんが、18~29歳、30~49歳ともに1日の推奨量は650mgと設定されています。2019年に実施された厚生労働省による「国民栄養・健康調査」では、全世代でカルシウムの摂取量は推奨量を下回っているという結果になりました。それほどカルシウムは摂りづらい栄養素と言えますし、意識して摂るべき栄養素だとわかります。カルシウムが多く含まれる食材としては、牛乳やチーズをはじめとする乳製品、豆腐や油揚げなどの大豆製品、そして骨ごと食べられるしらすなどの小魚です。
私たち日本人は和食がメジャーで、和食に乳製品を使う方は少ないかもしれませんが、例えば味噌汁に牛乳を入れるとまろやかで美味しくなりますし、おにぎりの具にチーズを使用してもマッチします。牛乳や乳製品の旨味が意外と和食にも合うので、是非アレンジしてみてください。手軽に摂れる小魚やカルシウム入りのウエハースなども、産後の忙しいママにはおすすめです。意識してカルシウムをたくさん摂るようにしましょう。

2.産後のママのたんぱく質の必要量と食材について

日本人の食事摂取基準2020によると、18~29歳、30~49歳ともに1日の推奨量は50gと設定されています。さらに授乳中のママは1日当たり+20gの付加量が必要と定められてるため、毎日計70gのたんぱく質が必要です。たんぱく質は肉や魚、卵や、豆腐などの大豆製品に含まれます。おおよその目安として、毎食、ご自分の掌1枚分の大きさの肉や魚、卵を食べていただくと、1日の推奨量の50gは摂れます。さらに付加量である20gは、肉や魚100gを追加して食べていただくと満たすことができます。産後は忙しく、おにぎりだけ、パンだけ等になりがちですが、たんぱく質を毎食食べるよう意識しましょう。

お口の雑菌を抑えてくれる唾液が出やすくなる食生活とは?

ママの歯や歯茎の原材料をしっかり摂って、土台が強くなるようにしましょうというお話をしましたが、ここでは雑菌を抑える働きのある、唾液が出やすくなるような食生活をご紹介します。

1.まずは毎日の水分補給をしっかりと

厚生労働省によると、1日の水分摂取量は2.5Lが目安と言われています。この中には食事由来の水分量も加味されておりますので、飲水で飲む量としては、通常は1.5Lほどです。しかし、授乳は水分も失うので、それ以上に水分補給が必要だと考えてください。また一度にたくさん飲むのではなく、こまめにわけて飲めるようにしていただくと良いでしょう。水分補給が口腔内の乾燥に、まずは即効性があります。

2.クエン酸を含む食材を食べる

私たちはクエン酸を含む食材を食べることで唾液腺が刺激されて、唾液の分泌量が多くなると言われています。そこで、梅干し、レモンなどいわゆるすっぱいものを食べることで、唾液の分泌を促します。またクエン酸濃度が濃ければ濃いほど唾液の分泌量が増えるとも言われていますので、唾液が出にくい時は食べる量を増やしていただくのも良いです。

 

虫歯や歯周病は産後だけではなく、妊娠中からすでにホルモンバランスによってリスクが高まりますが、ママ自身の歯や歯茎を栄養補給により強くすること、唾液の分泌を促すことで、リスクを下げることができます。産後は忙しくて大変ですが、なるべく歯磨きは丁寧に行い、是非今回ご紹介した食生活を試してみてください。

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この記事の監修者:松尾和美

保有資格

・管理栄養士
・野菜ソムリエ
・美肌食アドバイザー
・栄養療法ダイエットアドバイザー
・ベジフルビューティーアドバイザー
・ファスティングマイスター
・薬事法管理者
・コスメ薬事法管理者

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