妊娠中に気をつけたい!魚介類の水銀について
公開日:2022年8月24日
記事監修:管理栄養士 松尾和美
妊娠がわかったら、生ものやカフェインなどに気をつけなければならないとよく聞きますよね。魚介類についても、食べる量に気をつけなくてはならない種類があることはご存知でしょうか。実は水銀を多く取り込んでいる魚介類があるのです。水銀を含む魚?と驚いた方もいるかもしれません。今回は妊娠中に気をつけたい魚介類とその水銀の含有量について、具体的に管理栄養士が解説します。
なぜ魚に水銀が含まれる?妊娠中気をつけないとならない理由とは?
水銀というと危ないもの、というイメージが強いでしょう。実は水銀は自然界に微量に存在しています。水銀をプランクトンなどから取り込んだ小さな魚を大きな魚が食べる食物連鎖の中で、大きな魚には水銀が比較的多く含まれています。
厚生労働省で平成17年に、「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」が公表されました。これが現在の妊娠中における、魚介類摂取の指針となっています。水銀を取り込んだ魚介類を妊婦さんが極端にたくさん食べると、胎盤を通じて水銀が赤ちゃんに移行し、中枢神経の発達へ影響を及ぼし、音を聞いた時の反応が遅れるなどの可能性があるとされているため、注意が必要です。
妊娠に気づかずにたくさん食べてしまっていた!と焦る方もいるかもしれません。赤ちゃんは胎盤を通して水銀を取り込みますが、この胎盤ができあがるのは一般的に4ヵ月ごろです。胎盤ができるころまでには、それ以前に取ってしまっていた水銀は徐々に体内から出て減少しているので、妊娠に気づいてから気をつければ問題ありません。
水銀の含まれる魚介類とは?妊婦さんが気をつけたい1週間の目安量
では、具体的にどのような魚介類に水銀が含まれるのでしょうか?
含有量の多い魚介類
キンメダイ
ツチクジラ
メカジキ
クロマグロ
メバチ
エッチュウバイガイ
マッコウクジラ
キンメダイやメカジキ、クロマグロはスーパーでも手に入りやすい食材ですので、気づいたら妊娠中に頻度高く食べていた、という事態もありえます。1週間で80g(1切)までなら食べて良いとされています。なお妊娠中は免疫力が落ちているため、これらを食べる際は必ず加熱をしてください。
含有量が少量の魚介類
キダイ
マカジキ
ユメカサゴ(ノドグロ)
ミナミマグロ(インドマグロ)
前述した魚介類に比べると水銀の含有量は減りますが、それでも妊娠中に食べる場合は摂取量に気をつけていただきたい種類です。ユメカサゴは和名がノドグロといいます。おいしい高級魚としても有名ですが、実は水銀の含有量が気になる魚でもあるため、食べる際は注意が必要です。1週間で160g(2切)までなら食べて良いとされています。インドマグロやノドグロはお寿司で食べるとおいしい種類ですが、こちらも妊娠中は、くれぐれも生ものは避けてくださいね。
あまりスーパーなどでは見かけないですが、下記の魚介類にはとても水銀が多いので覚えておきましょう。
バンドウイルカ
魚介類で1番水銀が多いとされています。ただ、日常の食事で食べる機会は少ないかもしれません。一部の地域では良質なたんぱく質源として、バンドウイルカの刺身を食べる食文化もあります。バンドウイルカは体が大きい分、食物連鎖により水銀を体内に蓄積しやすいため、妊娠中に食べる場合は注意が必要です。1回約80gとして妊婦は2ヵ月に1回(1週間当たり10g)までなら問題ないとされているため、もし食べることがあれば味見程度にしましょう。
コビレゴンドウ
コビレゴンドウはクジラの一種です。魚介類で2番目に水銀の含有量が多いと言われているため、こちらも妊娠中に食べる場合は注意が必要です。こちらも上記でご紹介したバンドウイルカと同様に、スーパーではあまり見かけないため食べる機会はないかもしれません。1回約80gとして妊婦は2週間に1回(1週間当たり40g)までなら問題ないとされています。
妊娠中に食べても良い魚介類は?
厚生労働省が、食べる時に特には注意が必要ない魚介類としていて、摂取量を気にせず食べられる魚介類もあります。
キハダ
ビンナガ
メジマグロ
ツナ缶
サケ
アジ
サバ
イワシ
サンマ
タイ
ブリ
カツオ など
普段の食卓に並ぶ魚が多いですよね。水銀量も少なくもちろん赤ちゃんの発育にも影響しないため、積極的に取り入れましょう。
魚には良質なたんぱく質が豊富に含まれています。たんぱく質はママの体ももちろん、赤ちゃんの体を作る大事な栄養です。成人女性は50g/日が推奨量となっていますが、妊娠中はいつもより多く必要となり、妊娠初期は+0g、妊娠中期では+10g、妊娠後期では+25gです。あまり意識して減らしすぎず、今回ご紹介した具体的な種類や量を目安にして、召し上がってくださいね。
この記事の監修者:松尾和美
保有資格
・管理栄養士
・野菜ソムリエ
・美肌食アドバイザー
・栄養療法ダイエットアドバイザー
・ベジフルビューティーアドバイザー
・ファスティングマイスター
・薬事法管理者
・コスメ薬事法管理者