妊娠中のよくある悩み”むくみ”解消におすすめの食べ物・飲み物
公開日:2022年2月19日
記事監修:管理栄養士 松尾和美
むくみは妊娠中のマイナートラブルのひとつ。悩まされる妊婦さんも少なくはないでしょう。妊娠中のむくみはあくまで生理的なもので、多くの場合心配はいらないことがほとんどですが、不快感は軽減したいものですね。今回はむくみの原因や予防法についてまとめました。
妊娠中のむくみの原因は?
女性は男性に比べ筋肉量が少なく、身体が冷えやすいことから元々むくみやすいのですが、妊娠中はホルモンバランスの影響はもちろん、運動する機会も減り血液の循環が悪くなってしまうこと、血液中の水分が増えて血液が薄まった状態になること、大きくなった赤ちゃんの重みで脚の付け根の太い血管が圧迫されることなど、様々な原因でさらにむくみやすい状態になっています。
冒頭で述べたように、妊娠中のむくみは生理的なものがほとんどですが、まれに「妊娠高血圧症候群」を疑う必要がある場合があります。むくみに加えて高血圧になっている場合は注意が必要です。心配な場合は早めに医師に相談をしましょう。
むくみの予防法
塩分を控える
過剰な塩分摂取はむくみを引き起こす原因となるので気をつけましょう。日本人の食事摂取基準によると、1日の塩分摂取量の目標値は男性で7.5g未満、女性で6.5g未満とされています。しかし、日本人が実際摂っている塩分の量は1日10g以上で、摂りすぎの傾向にあると言われています。普段から濃い味に慣れている方は「減塩」というと物足りなく感じてしまうかもしれません。しかし、妊娠中はもちろん今後の健康のためにも、薄味に慣れておくのはとても良いことです。男性も濃くてはっきりとした味付けを好む傾向がありますが、少しの工夫で減塩しても美味しく食事を楽しむことができます。パートナーも一緒に薄味に慣れていくチャンスです。今回は無理のない減塩法をご紹介します。
◆控えたほうが良い食材
全く食べてはいけない、というわけではありませんが、塩分が多いので工夫が必要な食材をご紹介します。
① 練り物・ハム・ソーセージなどの加工食品
一般的なウインナーソーセージ1本にはおよそ0.4g前後の塩分が含まれています。ウインナーは手軽に食べられてつい1回で2本、3本と食べてしまうこともあるかと思いますが、ウインナーだけで1食分の塩分量を摂ってしまうことになりかねません。食べるときのおすすめの減塩法は、例えばウインナーと一緒にもやしやピーマンなどを加えて野菜炒めにしたり、焼きそばに入れたりするなど工夫することでウインナーの塩分を他の食材に移すことができ、調味料の量を多少減らすことができます。
同様に練り物のちくわも1本約0.6gの塩分が含まれるため、ちくわ単体で食べるよりも中にキュウリなどの野菜を入れたり、切って野菜炒めや煮物にしたりするなど、ほかの食材と一緒に摂ることで食べ過ぎを抑えられ、カリウムも摂れるためおすすめです。
② 梅干しや漬物
昔ながらの発酵食品である梅干しや漬物は腸内環境を整える効果が期待できますが、塩分が多く含まれるため、少量にとどめておくほうが良いでしょう。漬物がどうしても食べたいときは、少量の醤油と酢・砂糖で半日程度漬け込んだ自家製浅漬けがおすすめです。
③ 麺類
麺類は全体的に塩分が多い食品ですが、その中でもスープも飲んでしまうラーメンはトップクラスです。なんとラーメン1杯で7g以上もの塩分が含まれるのです。これは、前述したように1日の塩分摂取量の目標値に値する量です。ラーメンだけでなく、チャーハンや餃子なども一緒に食べるとさらに塩分を摂り過ぎてしまいます。他にも汁がない焼きそばやスパゲティ・味が濃いめんつゆで食べるそばやそうめんも塩分は多く含まれます。
◆麺類を食べるときの一工夫
① 麺類は汁を残す
汁に多く塩分が含まれます。汁は残すようにしましょう。
② 麺類そのものの回数を減らす
ついつい手軽で昼食など食べる機会が多い麺類ですが、週3回食べている場合は週に1回にするなど、回数を減らしましょう。ごはん・味噌汁と簡単なおかずなどの定食にすることで、塩分量は格段に抑えることができます。
③ だし・わさびや薬味を活用する
だしやスパイス・薬味・お酢やごま油など、コクや香り・うまみをプラスすることで、塩分が少なくても満足感が増します。例えば、パスタソースに大葉やバジルなどのハーブをたっぷり使う、にんにくやしょうがを加えて香りを出す、そうめんのつゆを減らしてレモン汁を入れる、などちょっとの工夫が減塩につながります。
カリウムを食事で意識して摂る
カリウムは塩分を排出する働きがあるので、むくみの予防につながります。こんぶ・ひじきなどの海藻類、野菜類・豆類・芋類などや、バナナやキウイなどの果物類に多く含まれます。カリウムは水に溶けやすく、茹でると茹で汁に流れ出てしまうので、生で食べられる野菜や果物、汁ごと食べられる味噌汁やスープがおすすめです。ただし、カリウムを積極的に摂取することでむくみの予防は期待できますが、腎臓機能が低下している場合はカリウムをうまく排泄できない恐れがあるため、医師に相談が必要です。
◆おすすめの食べ物
アボカド・ほうれん草・枝豆・モロヘイヤ・かぼちゃ・バナナ・メロン・キウイフルーツ
◆おすすめの飲み物
野菜ジュース・豆乳・牛乳
水分補給はお茶や水分が一番ですが、それ以外のものが飲みたくなった時は、カリウムは野菜や豆類・乳製品に含まれるため、甘いジュースではなく上記のものを選ぶようにすると塩分を排出し、むくみの予防効果が期待できます。コンビニなどでも手に入るものが多いので、間食替わりにもおすすめです。ただし、市販の野菜ジュースには塩分や糖分が多く含まれるものもあるため、表示を見て野菜本来の甘みや塩味のみが生かされている商品を選ぶことが大切です。
水分を摂取する
むくみとは身体に水分が溜まった状態を言います。そのため水分を控えたほうが良いと思いがちですが、それは大きな間違いです。むくみの改善にはしっかり水分を摂取することが大切なのです。血液の循環を良くするためにも水分補給を行うことが大切で、さらに妊娠中はお腹の赤ちゃんにも血液を届けるためにも積極的な水分摂取が必要です。
◆むくみ予防におすすめの飲み物
① 水
コーヒーや緑茶などにはカフェインが多く含まれています。妊娠中はお腹の赤ちゃんのために避けたい成分です。カフェインの含まれている飲み物は水分補給をしたつもりでもすぐに体外へ排出されてしまい、むくみの原因となり、それによって身体が冷えてしまうことがあります。そのため、カフェインが入っていない飲み物を摂ることが大切です。水はカフェインが含まれておらず、さらにむくみの予防だけでなく老廃物の排泄がスムーズになるため、便秘で悩んでいる方にもおすすめです。水分を摂るポイントとしては、一度に大量に摂るのではなく、常温でこまめに補給することが大切です。
② はと麦茶
はと麦には身体から余分な水分を排出するヨクイニンやミネラル類などが多く含まれています。こちらもノンカフェインなのでおすすめです。
③ 黒豆茶
余分な塩分・水分を排泄するカリウムが含まれています。オリゴ糖や食物繊維も含まれており、ノンカフェインなので妊娠中の女性におすすめの飲み物と言えます。さらにポリフェノールも含まれているので抗酸化作用があり、美容効果も期待できます。
軽い運動やストレッチ
体調が良ければ妊婦体操やストレッチ・ウォーキングなどで身体を動かすことも効果的です。ふくらはぎの筋肉を動かすことで血液やリンパの流れを促進することができ、足のむくみの解消に効果が期待できます。妊娠中の運動は安定期を過ぎたころから開始し、必ず運動を行っても良いかどうか医師に相談をしましょう。また、運動中にお腹の張りや痛みが出た場合は無理をせず休みましょう。
妊娠中は一時的にむくみやすくなるものですが、適度な運動やパートナーと一緒に食事や飲んでいるものを見直したり、時にはマッサージなども取り入れて、つらいむくみを予防していきましょう。
この記事の監修者:松尾和美
保有資格
・管理栄養士
・野菜ソムリエ
・美肌食アドバイザー
・栄養療法ダイエットアドバイザー
・ベジフルビューティーアドバイザー
・ファスティングマイスター
・薬事法管理者
・コスメ薬事法管理者