「ま・ご・わ・や・さ・し・い」でバランスの良い食事を
公開日:2022年2月27日
記事監修:管理栄養士 松尾和美
妊娠・出産という大仕事を終えたママの身体は傷ついた状態で、体力を消耗しています。さらに母乳育児の場合は、赤ちゃんに栄養を届けるためにもエネルギーを多く必要とします。産後は身体の回復を助け、育児のための体力をつけるために栄養バランスの良い食事を摂ることが大切なのです。
みなさんは「まごわやさしい」という言葉をご存知ですか?実はこの7文字は「取り入れることで健康的な食生活を送ることができる食材の頭文字」を語呂合わせにしたものです。洋食文化が進み、和食離れが進んでいる現代。今見直されているのがこの「まごわやさしい」という合言葉なのです。
<目次>
1. 「ま・ご・わ・や・さ・し・い」語呂合わせの食べ物とは?
2. 実は『まごわやさしい』の反対もある!現代の食事
3. 「ま・ご・わ・や・さ・し・い」食材を取り入れた献立の工夫
4. 週に2回は魚を食べよう
「ま・ご・わ・や・さ・し・い」語呂合わせの食べ物とは?
【ま】まめ:納豆・小豆・黒豆・油揚げなどの豆類
豆類には植物性たんぱく質が豊富に含まれています。中でも産後特に注目したいのは大豆。たんぱく質をはじめ、脂質、糖質、ビタミンB1、ビタミンE、葉酸、カリウム、マグネシウム、カルシウム、リン、鉄、亜鉛、銅など、栄養素の種類がとても豊富に含まれています。肉に偏りがちな現代の食事ですが、日本人に馴染みのある大豆などの豆類を積極的に取り入れていくと良いでしょう。
また、納豆や味噌など、大豆由来の発酵食品は腸内環境にも働き、さらには免疫機能の向上やホルモンバランスにも効果が期待できるとされ、産後のママには特におすすめです。
【ご】ごま:ごま・くるみ・栗・ぎんなん・松の実などのナッツ・種子類
ごまやナッツ、くるみなどにはたんぱく質・ミネラル・脂質が多く含まれています。殻が固く消化しにくいので、刻んだりすりつぶしたりして使うことで吸収が良くなります。おすすめはごま和え。和食の定番で簡単に作ることができます。ほうれん草やインゲン・人参など、お好きな野菜を茹でて、味噌とごまを合わせた和え衣で和えるだけで完成です。ごまの食感と風味が素材のおいしさを引き立てる、作り置きにもおすすめの一品です。その他、栗やくるみは間食にもおすすめです。
【わ】わかめ:わかめ・ひじき・のり・昆布・もずくなどの海藻類
ミネラルや鉄分が豊富な海藻類も現代の食卓から消えつつある食品のひとつではないでしょうか。乾燥わかめは使い勝手が良く、味噌汁にさっと入れると便利です。また、春先が旬の生のわかめは食感が良く、サラダや炒め物におすすめです。わかめの粘りの成分であるフコダインはコレステロールを下げる効果が期待できると言われています。水溶性食物繊維が豊富に含まれ、ミネラルも多く含まれる海藻類は産後ママにおすすめの食品のひとつです。
【や】やさい:緑黄色野菜・淡色野菜・根菜類など
野菜によって含まれる栄養素は違いますが、ほぼすべてにビタミンやミネラルが含まれています。意識していただきたいのは旬の野菜を取り入れることです。旬の野菜は栄養価が高く、新鮮でおいしさも増します。価格が安く手に入りやすいというのもメリットのひとつです。今はスーパーに行けば季節を問わずどんな野菜も手に入る時代ではありますが、その時期が旬を迎える食材を知り選ぶようにすると、効率良く栄養を取り入れることができます。
【さ】さかな:魚介類
魚料理は難しそうと敬遠する方もいるかもしれませんが、切り身を購入すればフライパンで焼くだけで簡単に調理できるので、肉料理よりも短い調理時間でメインのおかずが仕上がります。さらにお刺身なら調理の必要がないのでさらに簡単です。産後特に摂りたいのは鯖やイワシ・アジなどの青魚です。青魚にはDHA・EPAなどの脂肪酸が豊富です。ある研究によるとEPA濃度が高い人ほど抑うつ状態になりにくいという報告がされています。また、DHAは脳や神経に関与し、子どもの発育にも必要とされています。
【し】しいたけ:キノコ類
キノコ類は低カロリーで食感が良く、よく噛むことで満腹感を得られる効果が期待できますが、それだけではありません。まず、食物繊維の含有量が多く、特に注目なのが免疫細胞を活性化する働きがあるβグルカンという食物繊維の一種が含まれることです。βグルカンはしいたけやまいたけなどに多く含まれ、免疫療法の薬にキノコ由来の成分が使用されるほどです。
また、骨や歯の形成に関わるカルシウム合成に欠かせないビタミンDも多く含まれます。ビタミンDは肉や野菜にはほとんど含まれず不足しやすいビタミンですが、干ししいたけやきくらげなどの乾物のキノコに多く含まれます。
キノコは一年を通して価格の変動が少なく、手に入りやすい食材です。炒める・焼く・煮る・蒸す、どの調理法でもおいしく食べられます。ぜひ毎日の食卓に取り入れるようにしましょう。
【い】いも:イモ類
イモ類の仲間にはじゃがいも・さつまいも・里芋などがあります。特徴としてはエネルギーの素となる炭水化物を多く含み、食物繊維が豊富です。じゃがいもやさつまいもにはビタミンCが豊富で熱に強く壊れにくいという特徴もあります。
実は『まごわやさしい』の反対もある!現代の食事
ご自身の食事を振り返ってみて足りていないものはありましたか?「まごわやさしい」食材は食べているようで見落としていた食材もあったのではないでしょうか。一方で現代の食事を表す、反対の語呂合わせもあるのです。それは「おかあさんやすめ」「ははきとく」と言われています。詳しく見ていきましょう。
おかあさんやすめ
お:オムライス
か:カレーライス
あ:アイスクリーム
さん:サンドウィッチ
や:焼きそば
す:スパゲティ
め:麺類
ははきとく
は:ハンバーグ
は:ハムエッグ
き:餃子
と:トースト
く:クリームシチュー
これらのメニューは単品で完結するため手軽に済ませやすく、産後ママも食べる機会が多いかもしれませんが、初めに説明した「まごわやさしい」を使った食事に比べると柔らかくて咀嚼(そしゃく)回数が少ない、脂質・糖質が多く、ビタミン・ミネラルが少ないという問題点があります。とはいえ、忙しい産後ママが何品も食事を作るのは困難ですので、食べ過ぎに注意して、たまには取り入れても良いでしょう。
「ま・ご・わ・や・さ・し・い」食材を取り入れた献立の工夫
キノコや豆類、海藻などはさっと炒めたり、汁物に入れたり、と少しの工夫で取り入れることが可能です。しかし、毎日・毎食というと難しいこともあるでしょう。現代の食事で野菜や海藻類などが不足しているなと感じるときは、付け合わせに「まごわやさしい」の食材を添えたり、お肉やごはんに混ぜ込んだりして取り入れていきましょう。
例えば、麺類にはたっぷりの野菜をトッピングする・オムライスのケチャップご飯の中に細かく切ったきのこや野菜を入れる・ハンバーグを豆腐入りハンバーグにする・などです。野菜のみじん切りをするのは産後時間がなくて難しい場合、みじん切りチョッパーやスライサーを使うのもおすすめですし、スーパーにみじん切りになったものも販売されていますので活用しましょう。
週に2回は魚を食べよう
前述したように、青魚に含まれるDHA・EPAは脳や神経と関わりがあり、子どもの発達だけでなく、産後ママの心を安定させる働きが期待されています。近年の研究では炎症を抑える効果もわかってきており、アトピー予防の効果も期待されています。現代の生活では魚よりも肉を食べる機会のほうが圧倒的に多いのではないでしょうか。魚は鮮度がおいしさに直結するので、「買い物に行った日は魚を食べる」と決めると取り入れやすいかもしれません。
産後は赤ちゃんのお世話に追われ、つい自身の食事をないがしろにしがちですが、旬の野菜や鮮度の良いお魚などを取り入れて、簡単で美味しい食事でママ自身が栄養をしっかりと取り入れましょう。
この記事の監修者:松尾和美
保有資格
・管理栄養士
・野菜ソムリエ
・美肌食アドバイザー
・栄養療法ダイエットアドバイザー
・ベジフルビューティーアドバイザー
・ファスティングマイスター
・薬事法管理者
・コスメ薬事法管理者