公開日：2022年9月15日

記事監修：管理栄養士 松尾和美

亜鉛と言うと、妊活中の男性に必要な栄養素というイメージが強いのですが、実は妊娠中の女性の方にも積極的に摂っていただきたい栄養素です。亜鉛の働きや何に含まれるかをご存知ですか？今回は妊活中の男性だけではなく、妊娠中の女性にも亜鉛が必要な理由と、亜鉛が手軽に摂れるおすすめのレシピをご紹介します。

亜鉛とは？亜鉛の働きについて

まず亜鉛とは？

亜鉛とは、ミネラルの１種です。ミネラルは別名・微量元素とも言われ、私たち人間にとって欠かせない働きを持つ大切な栄養素です。亜鉛は体内に2,000mgほど存在しており、主に筋肉・骨・皮膚・肝臓・脳・腎臓などに含まれます。

亜鉛の働きとは？

亜鉛は男性の精子の量を増やす、精子の運動量の低下を防ぐ働きが注目されているため、妊活中の男性に必要な栄養素、という認識が強いかと思います。しかし、実は亜鉛は妊活中の男性だけではなく、妊娠中および授乳中の女性にも特に必要だと言われています。その根拠として、妊婦や授乳婦には、非妊娠時・非授乳時に比べて付加量が設定されています。
妊娠というものは、精子と卵子が出会って受精卵になったあと、細胞分裂を繰り返してお腹の赤ちゃんが大きくなりますが、この細胞分裂はまさに亜鉛の働きが大きく関与しています。また、免疫力にも亜鉛は関与していることから、特にホルモンバランスの関係で免疫力が落ちやすい妊娠中には、特に必要な栄養素だと言えます。他にも亜鉛は味覚の発達・維持にも欠かせません。味の濃いものを好むようになったと感じたら、亜鉛が不足しているかもしれません。

亜鉛が不足するとどうなる？

亜鉛が不足した場合、男性の生殖機能の低下はもちろんですが、男女問わず、皮膚での炎症が起きる・味覚障害になる（味がわからない）・下痢をしやすくなる・免疫機能が低下する、妊娠中の女性ではお腹の赤ちゃんの細胞分裂の遅れや、子供の場合には成長の遅れなどが見られると言われています。

亜鉛が含まれる食材とは？

亜鉛が含まれる食材とは、牡蠣・うなぎ・レバー・海苔・わかめ・きな粉・油揚げ・アーモンド・くるみなどです。動物性食材から植物性食材まで、幅広く含まれます。

妊娠中に必要な亜鉛の量とは？

日本人の食事摂取基準2020より、非妊娠中の18～49歳の女性の推奨量は、1日8mgと設定されています。妊娠中の女性では、この推奨量8mgに付加量2mgを加えた、計10mgが亜鉛の推奨量となります。
亜鉛10mgを摂るためには、牡蠣（1つ20g相当）4個、またはうなぎ300g（蒲焼３串）、またはレバー150gほどが目安となります。牡蠣が最も食事量に対して含まれる亜鉛が多く、特に効率良く摂取することができます。
他にもきな粉やアーモンド、油揚げにも含まれるため、おやつや日々の食卓に取り入れることで、少しずつ亜鉛を摂ることができます。
亜鉛は摂り過ぎるのも難しいですが、過剰摂取による症状としては、吐き気やおう吐、腹痛等の消化器障害、立ちくらみ（銅または鉄欠乏による貧血）や、歩きにくい（神経障害）等があるため、食べ過ぎにならないようにしましょう。

管理栄養士おすすめの亜鉛レシピ

ご飯のお供に便利！牡蠣の佃煮

（材料）
牡蠣（大粒） １０個
水 大さじ１
酒 大さじ４
みりん 大さじ４
砂糖 大さじ３
醤油 大さじ４
生姜チューブ 大さじ１
（さっぱりした味が好きな場合はお好みで生姜を増やしてください）

（作り方）
① 牡蠣はよく水で洗って臭みを取っておきます。塩水だとより臭みが取れるのでおすすめです。
② 酒・水・みりん・砂糖・醤油を混ぜ合わせて小さめの鍋に入れ、火にかけます。
③ ②の砂糖が溶けたら、牡蠣と生姜チューブを入れて煮ます。
④ 時々火を止めて様子を見て、煮詰まったら完成です。

おかずを用意する時間がない忙しい時でも、炊き立ての白いご飯に牡蠣の佃煮を乗せれば、亜鉛もたんぱく質も摂れる栄養価の高いご飯に早変わり♪さらには、海苔にも亜鉛が含まれるため、牡蠣の佃煮を具におにぎりにして、海苔を巻けばよりたくさんの亜鉛が摂れます。

飲むだけで亜鉛とたんぱく質補給！きな粉牛乳

（材料）
牛乳 １５０ｃｃ（アーモンドミルクや豆乳に変更してもおいしいです）
きな粉 大さじ２
砂糖 大さじ１（甘いのが好きな場合は大さじ２）

（作り方）
① 牛乳を温めます。
② ①の牛乳に、きな粉と砂糖を入れて完成です。

牛乳にきな粉を混ぜて、お手軽に亜鉛と動物性・植物性のたんぱく質が摂れるドリンクに！お好みで砂糖を入れてお召し上がりください。妊娠中の朝食やおやつにぴったりです。

 

亜鉛は男性に必要な栄養素だと思われることが多いですが、実は味覚や免疫力、皮膚の健康、そして妊娠中にお腹の赤ちゃんが育つために、必要な栄養素がぎゅっと詰まっています。亜鉛が牡蠣に豊富に含まれているのは有名ですが、実はきな粉やアーモンドなど植物性の食材にも含まれています。今回ご紹介したように、常備できる佃煮、混ぜるだけのドリンクなどで、積極的に亜鉛を摂りましょう！

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この記事の監修者：松尾和美