髪や肌の変化が気になる!妊娠中に取り入れたい髪と肌の栄養ケア
公開日:2022年10月6日
記事監修:管理栄養士 松尾和美
妊娠するとホルモンバランスが変化します。その影響で髪質や肌質が変化することが多く、髪がいつもよりもパサついたり、肌が荒れてしまったり…。髪や肌のケアが気になるという声をたびたび聞きます。妊娠中でもママになってもずっときれいでいたいですよね。今回は、妊娠中のホルモンとその働きについて、妊娠中に取り入れたい髪と肌の栄養ケアについてご紹介します。
妊娠中に変化するホルモンバランス
黄体ホルモンと卵胞ホルモン
妊娠中に限らずですが、女性の体はホルモンバランスに影響されることが多いと言われています。黄体ホルモン(プロゲステロン)は排卵日が近くなると、受精卵が着床しやすいように子宮内膜を整え、基礎体温を上げる働きがあります。この時に妊娠しなければ子宮内膜が剥がれ(=月経)、次第に黄体ホルモンの量が減っていきますが、一方で卵胞ホルモン(エストロゲン)が増えます。そして約28日後の次の排卵日に向けて、また黄体ホルモンが徐々に増えていきます。黄体ホルモンと卵胞ホルモンの増減は、反比例の関係性にあります。
受精・妊娠した場合のホルモンについて
黄体ホルモンが増加し、子宮内膜が厚くなり卵子と精子が受精した場合は、次に着床、妊娠となります。この時、黄体ホルモンの分泌量はこのまま維持されます。黄体ホルモンは妊娠の継続に必要だからです。さらにその後、卵胞ホルモンも増加して、赤ちゃんが育ちやすいようにママの体を整えます。
髪や肌へのホルモンの影響
卵胞ホルモンや黄体ホルモンによって、妊娠が成立、維持されますが、それに伴いお腹の張り、ガスの溜まり、便秘、肌質の変化、髪質の変化などが見られます。黄体ホルモンはメラニン色素を作る細胞に働きかけをするため、妊娠中に乳首が黒くなるだけではなく、顔などにシミができやすくなります。さらに皮脂の分泌量が増えて、肌がベタつきやすくなることもあります。また、赤ちゃんにたんぱく質、ビタミンやミネラルなどの栄養を優先的に送るため、ママはビタミン・ミネラルが不足しやすくなり、髪がパサついたり肌が荒れてしまったりすることもあります。このように、妊娠すると非妊娠時に比べてホルモンのバランスが変化するため、肌や髪など目に見える部分の変化も起きるのです。妊娠は喜ばしいことでも、肌や髪はずっときれいでいたいと思いますよね。そこで今回は、髪や肌のケアができる栄養素と具体的な食べ物のご紹介をします。
妊娠中の髪や肌の栄養ケア
髪のケアに必要な栄養素
前述のように、妊娠中は赤ちゃんにたんぱく質・ビタミン・ミネラルなどを優先的に送るため、ママは栄養が不足しやすくなり、髪がパサついたり髪質が変わってしまったりすることもあります。そこで、髪の原料であるたんぱく質・ミネラルを、意識して多く摂っていただくことをおすすめします。
具体的な食べ物とおすすめの食べ方
●たんぱく質
たんぱく質はあらゆる体の材料となっている栄養素です。肉・魚・豆腐などの大豆製品などに含まれています。特に肉や魚は水分含有量が少ない分、たんぱく質がぎゅっとつまっています。脂肪分の少ない赤身を選んでいただくと、鉄分も一緒に摂ることができるので妊娠中におすすめです。
●ヨウ素
ヨウ素は代謝を促し、髪がきれいに生えるのをサポートする栄養素です。昆布やわかめなど、海藻類に特に多くヨウ素が含まれています。おやつに昆布のお菓子を食べる、味噌汁にわかめを入れるなどしていただくと、欠かさずヨウ素を摂ることができますね。ヨウ素は胎児の骨や脳が正常に発育するために必要なものです。妊婦の食事摂取基準は1日240μg、耐容上限値は2,200μgとしています。水戻しわかめ10gで190μg、乾燥昆布5㎝(5g)ではなんと12,000μgもあります。食べすぎにもまたリスクがあるため、摂り過ぎは気をつけてください。
肌のケアに必要な栄養素
妊娠中はホルモンの働きかけでシミができやすくなったり、皮脂の分泌が増えるなどで肌が脂っぽくなったりするというお話をしました。そこで、シミの対策にはビタミンCを、また肌の脂っぽさの対策には、脂質の代謝に必要なビタミンBを摂っていただくことがおすすめです。
具体的な食べ物とおすすめの食べ方
●ビタミンC
ビタミンCは抗酸化力が強い、別名美容のビタミンです。いちご・パプリカ・みかん・ピーマン・じゃがいもなどに含まれます。ビタミンCは水溶性ビタミンですので水に溶けやすく、体に貯めることができない性質があります。生でそのまま食べる方法が最もおすすめの食べ方ですが、汁物に入れて煮汁ごと食べる方法もおすすめです。一度にたくさんまとめて摂るのではなく、朝・昼・夜と3回に分けてこまめに摂っていただくことをおすすめします。
●ビタミンB2
ビタミンB2は脂質の代謝に関わるビタミンです。豚レバー・牛レバー・うなぎなどに含まれます。ビタミンB群もビタミンCと同様に、水溶性ビタミンですので水に溶けやすく、体に貯めることができない性質があるので、こちらも一度にたくさんまとめて摂るのではなく、朝・昼・夜と3回に分けて摂りましょう。
妊娠中のホルモンバランスにより変化する髪や肌。お悩みの方はとても多いのではないでしょうか?妊娠中は薬も飲めないですし、スキンケア類にも気を使いますよね。食べ物から必要な栄養素をしっかりと摂って、内側からお悩みを解決しましょう。
この記事の監修者:松尾和美
保有資格
・管理栄養士
・野菜ソムリエ
・美肌食アドバイザー
・栄養療法ダイエットアドバイザー
・ベジフルビューティーアドバイザー
・ファスティングマイスター
・薬事法管理者
・コスメ薬事法管理者