妊活中の外食・中食メニュー、なにを選ぶ?
公開日:2023年11月8日
記事監修:管理栄養士 松尾和美
妊活をいざ始ようと思った時、どんなことに気をつけて過ごせば良いでしょうか?ストレスを溜めない、体を冷やさないなど様々ありますが、食事の改善はみなさん一番初めに意識されるのではないでしょうか。今回は妊活中に摂りたい栄養素をテーマに、外食や中食の選び方について、管理栄養士がお伝えします。
妊活中に摂りたい栄養素について
すでに妊活を始めている方にもこれから始める方にも、知っておいていただきたいことがあります。それは赤ちゃんを授かるために欠かせない栄養素が、いくつかあるということです。妊活中における葉酸・鉄の必要性については、ネットでの情報で知ったり、産婦人科の先生から度々指導される機会があるかもしれませんが、これら以外にも必要な栄養素はいくつかあります。
まず大前提として、血液・ホルモン・筋肉などのあらゆる原料となるたんぱく質は、妊活を意識したら普段以上に夫婦でしっかりと摂るようにしたいですね。そしてそれ以外にも、卵子の老化を防ぐことでより妊娠の確率を上げるための栄養素、血流を良くして子宮が冷えないようにする栄養素、妊娠を維持できるようにサポートしてくれる栄養素を摂ることが重要です。栄養素別に詳しくご説明します。
妊活中に摂りたい葉酸
妊娠初期に葉酸を摂ると、赤ちゃんの先天異常を防ぐ働きがあると言われています。ただしここでカラクリがあり、通常月経が来ないから妊娠したのかもしれないと思い、産婦人科で検査をして妊娠が発覚すると、この時点ですでに妊娠2ヶ月ごろと言われます。この理由は、最終月経の1日目を妊娠1日目とカウントするためです。こういった理由から、妊娠初期に葉酸が摂れている状態にするためには、ご自身で妊娠に気づく前から葉酸を摂ることが大切で、すなわち妊活を始めた時点から意識して摂っていただくと良いでしょう。葉酸は水溶性ビタミンの一種で、一度に大量に摂っても体内に貯蔵しておけないため、毎日・毎食こまめに摂ることが大切です。葉酸はブロッコリー、枝豆、ほうれん草、とうもろこしなどに含まれます。
妊活中に摂りたい鉄
鉄は血液の成分の1つである赤血球を作ったり、体中に酸素を運んだり、子宮内膜の材料となるなど働きがたくさんあります。もし妊活中に鉄が不足した場合、赤血球が作れずに貧血になり、体はもちろん卵子にも必要な酸素が届かなくなる可能性や、受精後にも、赤ちゃんが育つ部屋となる子宮内膜がしっかりと作れなくなるなどの懸念があります。そこで妊活を意識したら、特に普段から貧血傾向の方は、より意識して鉄を摂っていただくと良いでしょう。鉄はレバー、牛肉の赤身、魚の血合い、ほうれん草、小松菜などに含まれます。
妊活中に摂りたいたんぱく質
たんぱく質は卵子や精子はもちろんのこと、血液・ホルモン・筋肉など体のあらゆるものの原料となります。そのため、夫婦で毎日・毎食意識して摂ることが大切です。たんぱく質は肉、魚介類、卵、豆腐や豆乳・納豆などの大豆製品、枝豆やきなこなどに含まれます。
妊活中に摂りたいビタミンC
ビタミンCは抗酸化力が強く、体はもちろんのこと、卵子の老化も防ぐ働きがあります。野菜・果物などに多く、赤パプリカ、黄パプリカ、ブロッコリー、じゃがいも、さつまいも、いちご、柿、キウイ、レモンなどに含まれます。タバコを吸う方、仕事などで日頃からストレスが多い方、日光に良く当たり日焼けをする方については、特にビタミンCの消耗が激しいため、意識してしっかりと摂る必要があります。ビタミンCは水溶性ビタミンの一種で、一度に大量に摂っても体内に貯蔵しておけないため、毎日・毎食こまめに摂ることが大切です。
妊活中に摂りたいビタミンE
ビタミンEはビタミンCと同様に抗酸化力が強く、血管を広げて血流を良くするなどの働きがあります。アーモンドなどのナッツ類、アボカド、かぼちゃなどに含まれています。ビタミンEは脂溶性ビタミンの一種なので、油と一緒に摂ることで吸収が良くなります。
妊活中の外食、コンビニ・スーパーのお惣菜でおすすめのメニューとは?
毎食、家で栄養を意識して料理できれば理想ですが、たまには外食したり、お惣菜で済ませたりしたい時もありますよね。ここでは妊活中の外食や、コンビニ、スーパーでどのようなお惣菜を選んだら良いかを、具体的に解説します。
<おすすめ外食編>
①鉄板焼き(牛肉・かぼちゃ・パプリカ・じゃがいもなど)
もし外食先が選べるとしたら鉄板焼きをおすすめします。鉄板焼きでは厚めの牛肉、そして薄切りにした野菜で、かぼちゃ・パプリカ・じゃがいもなどと一緒に食べますよね。牛肉には妊活の肝とも言えるたんぱく質と鉄、かぼちゃには抗酸化力が強く血管を広げて血流を良くするビタミンE、パプリカ・じゃがいもには抗酸化力が強いビタミンCや葉酸が含まれています。油で焼くのでカロリーが高く思われますが、牛肉は赤身が多く脂肪が少ない部位にする、脂肪分がある場合はよく焼いて、できるだけ余分な脂肪を落として食べるようにする、などポイントを抑えて食べれば大丈夫です。また、ビタミンEは脂溶性ビタミンなので油調理との相性が良く、鉄板焼きにはもってこいと言えますね。さらに、ビタミンCは一般的に、ゆでるとお湯の中にビタミンCが溶け出してしまい、野菜に含まれる分が減ってしまう性質がありますが、鉄板焼きではパプリカもじゃがいもも焼いて食べるので、野菜類に含まれているビタミンCを逃さずに摂ることができます。
②豚の生姜焼き定食(豚肉・生姜・玉ねぎ・ご飯・味噌汁など)
定食屋さんでは、豚肉の生姜焼きを定食で頼むことをおすすめします。豚肉はたんぱく質が豊富に含まれており、生姜は体を温めるため、妊活中にはとても良いメニューだと言えます。ご飯を雑穀ご飯に変更できる場合は、ぜひ変更してみてください。パンや麺などの精製された小麦を使用したものと比べて、比較的血糖値が上がりにくく、血糖値の乱高下を防げるためメンタルも落ち着きやすく、妊活中のストレス対策にもおすすめです。定食にすると味噌汁がついてきますが、これもポイントです。味噌汁は体を温めてくれますし、野菜や海藻なども摂れ、発酵食品でお腹の調子も整えられるため、毎日でも摂りたい1品です。
<おすすめコンビニ・スーパーの惣菜編>
①ポテトとハムのサラダ(じゃがいも、ハムまたはベーコンなど)
じゃがいもには抗酸化力の強いビタミンCや葉酸が含まれています。ポテトだけではなく、妊活に必須の体づくりに欠かせないたんぱく質である、ハムやベーコンが含まれていますので、妊活にはとても良いですね。ゆで卵を足すと、総合的にさらに良質なたんぱく質が摂れるのでおすすめです。
②エビとブロッコリーの中華炒め
エビには妊活に必須の体づくりに欠かせないたんぱく質が含まれており、ブロッコリーには抗酸化力の強いビタミンCや葉酸が含まれています。中華系の惣菜には唐辛子が入っているものも多く、唐辛子の辛味であるカプサイシンという成分が体を温める働きがあるため、冷え症で妊活中の方には特におすすめです。
③かぼちゃの煮付け・サラダ
コンビニでもスーパーの惣菜でも定番の、かぼちゃの煮付けやサラダ。かぼちゃには、抗酸化力が強く血管を広げて血流を良くする働きのビタミンEが、たっぷり含まれています。
④レバニラ炒め
赤血球を作ったり、体中に酸素を運んだり、子宮内膜の材料となる鉄が多く含まれるレバーと、アリシンという免疫力アップに良い成分が含まれるニラ。鉄を1品でたっぷり摂りたい時や、気温が下がって体調をくずしやすくなる冬に特におすすめです。
⑤ほうれん草のバター炒め
ほうれん草には妊娠初期に摂ると赤ちゃんの先天異常を防ぐ働きがある葉酸と、赤血球や子宮内膜の材料となる鉄が含まれており、特におすすめです。ハムやベーコンが含まれているものですとたんぱく質も摂れるので、妊活中により良いですね。
いかがでしたでしょうか?今回は妊活中に摂りたい栄養素と、外食・中食のメニューをどのように選べば良いのか?という点について、管理栄養士がお伝えしました。赤ちゃんのために必ず手作りの健康的な食事を食べなくてはならない、という思い込みがストレスにつながってしまう場合もあるため、外食や中食、サプリメントもうまく活用して、ストレスフリーの妊活生活を送ってくださいね。
この記事の監修者:松尾和美
保有資格
・管理栄養士
・野菜ソムリエ
・美肌食アドバイザー
・栄養療法ダイエットアドバイザー
・ベジフルビューティーアドバイザー
・ファスティングマイスター
・薬事法管理者
・コスメ薬事法管理者