意外と知らない?妊娠したら気をつけたい食べ物と飲み物
公開日:2023年12月7日
記事監修:管理栄養士 松尾和美
通常、人間の体には自分の体の中にないものを異物と認識して攻撃する仕組みが備わっていますが、妊娠が成立すると受精卵=赤ちゃんを異物として攻撃しないように、母体は免疫力を下げて妊娠が維持できるようにします。そのため、妊娠すると免疫力が下がり、妊娠前と比べると食中毒になりやすくなったり、体調を崩しやすくなったりします。妊娠したら薬が飲めないからこそ、体調を崩さないないようにしたいですよね。今回は妊娠中に気をつけたい食べ物、飲み物についてのお話です。
妊娠したら気をつけたい食べ物
絶対に避けたいのが、生の食べ物や加熱が甘いものです。具体的には、生の魚・肉・卵・貝類・ハムや、ナチュラルチーズ、レアのステーキなどです。スモークサーモンや肉のパテ、ユッケやレアのステーキなどは、完全に生というわけではないので、一見妊娠中でも食べられそうですが、加熱処理が十分になされていないものもあるため、控えるほうが良いでしょう。これらには、寄生虫の一種であるトキソプラズマや、リステリア菌という菌がいる場合があります。トキソプラズマは生や加熱が十分ではない肉類にいる場合が多く、リステリア菌は生や加熱が十分ではない肉類、生魚、よく洗っていない生野菜などに存在することが多いです。妊娠中にトキソプラズマが体の中に入ってしまったり、リステリア菌に感染してしまうと、稀に流産や死産となることがあります。ですので、ご紹介した食べ物は、妊娠の予定がある方やすでに妊娠している方は避けたほうが賢明です。
他にも量に気をつけたいのが、水銀を含む魚です。キダイ、マカジキなどは1回80gを週2回まで。キンメダイ、メカジキ、クロマグロ(本マグロ)、メバチ(メバチマグロ)、などは1回80gを週1回までとされています。80gは切り身1切れぐらいの大きさです。魚はたんぱく質やDHA、カルシウムなどを豊富に含むので、本来妊婦にとっても良質な栄養源です。上記の魚は偏らないように量と回数に注意しましょう。上記以外の魚(サケ、アジ、サバ等)は安心して積極的に取り入れましょう。
また、意外と知られていませんが、昆布とひじきも摂り過ぎに注意が必要です。ひじきは食物繊維やミネラルが豊富で、カロリーが低く、妊婦に良い面もある食材ですが、ヒ素が多く含まれ、食べ過ぎると健康被害をもたらす恐れがあります。妊娠中は乾燥ひじき5g(小鉢1杯程度)を週2回までにしましょう。また、昆布はヨウ素を多く含みます。これは甲状腺ホルモンの主原料で、人間にはなくてはならない成分ですが、摂り過ぎるとおなかの赤ちゃんの甲状腺機能が低下すると言われています。海藻類に多く含まれ、特に昆布に多く含まれています。私たち日本人は出汁などで昆布を日頃から多く摂取しているため、許容量を超えないように妊娠中は毎日食べることは避けましょう。味噌汁1杯分の150mlが1日の目安量です。昆布出汁を毎日使用していた方は、カツオや煮干しのダシで代替するなど工夫しましょう。
他にも、ビタミンAが多く含まれる食材には注意が必要です。人間にとって必要な栄養素ですが、妊娠初期の動物性のビタミンAの摂り過ぎは、赤ちゃんの形態異常を引き起こす可能性があると言われていますので、決められた推奨量を守るようにしましょう。特に多く含まれているのはレバーやうなぎで、週に1回程度にしましょう。緑黄色野菜などから摂れるビタミンAは、通常通り食べても問題ありません。
妊娠したら気をつけたい飲み物
まずは絶対にNGなのは、ビール・日本酒・カクテル・ワインなどのアルコールの含まれる飲み物です。アルコールは、胎盤を通じておなかの赤ちゃんへ影響が出てしまう可能性もあります。具体的な影響としては低体重、顔の形態の異常・脳の障害などを引き起こす可能性があると言われます。例え少量でも、妊娠初期から後期まで全ての時期で影響がある可能性が高いため、妊娠の可能性がある方やすでに妊娠中の方は、完全にお酒を断つようにしてください。
また、カフェインの含まれる飲み物は量に注意が必要です。コーヒー・紅茶・抹茶・緑茶・エナジードリンクなどに含まれるカフェインは、通常摂取すると脳が興奮して目が冴えたりしますが、過剰に摂取した場合はめまいや心拍数の増加、不安、震え、不眠が起こります。妊娠中の女性がカフェインを大量に摂取した場合に、おなかの赤ちゃんの発育を阻害して低体重となる可能性が報告されています。日本の厚生労働省では妊娠中のカフェインの摂取量について規制はされていませんが、WHO(世界保健機関)では妊娠中は1日当たり3~4杯まで、カナダ保健省(HC)ではコーヒーをマグカップで約2杯まで、英国食品基準庁(FSA)では1日当たりコーヒー2杯程度、と1日の摂取量が定められているため、やはりこれを参考にするほうが安全だと言えますね。また、最近では高カカオチョコレートが流行りですが、カフェインが意外と多く含まれていることもあるので妊娠中は食べ過ぎには注意しましょう。
その他、季節を問わず冷たい飲み物は控えるほうが良いでしょう。妊娠するとおなかの赤ちゃんを育てるために多くの血液が必要になりますが、冷やすことで血流が悪くなるため、十分に血液を全身に届けられない可能性があります。妊娠初期は特に体に火照りが出て、冷たい飲み物が欲しくなる時もあるかもしれませんが、どうしても冷たいものが飲みたくなったら、冷やし過ぎないよう氷はなしでオーダーするようにしましょう。
今回は妊娠したら気をつけたい、食べ物や飲み物について解説しました。食べたものや飲んだものによっておなかの赤ちゃんへ悪影響が出てしまうのは、絶対に避けたいですよね。妊娠に気づいた時には早くても妊娠2ヶ月となっていることが多いため、妊娠中だけではく妊娠する可能性がある方は、今回ご紹介した食べ物・飲み物には気をつけるようにしていただくと良いですね。
この記事の監修者:松尾和美
保有資格
・管理栄養士
・野菜ソムリエ
・美肌食アドバイザー
・栄養療法ダイエットアドバイザー
・ベジフルビューティーアドバイザー
・ファスティングマイスター
・薬事法管理者
・コスメ薬事法管理者