コラム

妊娠中の貧血対策に!鉄が豊富な食べ物と3つのポイント

公開日:2024年2月20日

記事監修:管理栄養士 広田千尋

妊娠中は鉄が不足しないようにしっかり補給することが大切です。鉄の摂取が大切な理由や、鉄不足によって起こる貧血の影響を知り、ぜひ対策を行いましょう。今回は、妊娠中の貧血についてや、鉄が豊富な食べ物について、管理栄養士が解説します。日常的に取り入れやすい食べ物や、鉄の摂取量を増やすポイント3つも紹介するので、ぜひ最後までチェックしてみてください。

妊娠中に鉄が大切な理由

妊娠中に鉄が大切なのは、赤ちゃんの健やかな成長と、お母さん自身が元気に過ごすために必要だからです。鉄は酸素を運搬するヘモグロビンの材料となり、赤ちゃんに酸素を届けるために大切な役割がある栄養素です。鉄が不足してしまうと血液中のヘモグロビン濃度が低下し、貧血の状態になります。妊娠中の貧血は、低出生体重児、分娩時の多量出血、乳汁分泌不全などとの関連 があることが知られています。また酸素を運搬する力が低下するため、疲れやすさや息切れなどの症状が出ることも。妊娠中のつらさにつながるだけでなく、産後の疲労感が増大する一因にもなり得ます。次から紹介する必要量や食べ物を参考に、ぜひ鉄をしっかり補給しましょう。

妊娠中の鉄の必要量

妊娠中は血液の量が増えるため 、妊娠前に比べると鉄がたくさん必要になります。妊娠中に必要な、1日あたりの鉄の量は下記のとおりです。

・妊娠前:10.5mg
・妊娠初期:9.0mg
・妊娠中期:16.0mg
・妊娠後期:16.0mg
・授乳期:9.0mg

特に妊娠中期、後期に必要とされる鉄の量は、妊娠前に比べると約1.5倍もの量となります。20~40代の女性は、そもそも妊娠前から鉄の摂取量が不足している傾向があるため、妊娠中はさらに意識して鉄を補給する必要があります。ぜひ次に紹介する食べ物を取り入れてみましょう。

鉄が豊富な食べ物

鉄が豊富な食べ物には2種類あり「ヘム鉄を含む食べ物」「非ヘム鉄を含む食べ物」があります。

・ヘム鉄:吸収率が高く、主に動物性食品に含まれる
・非ヘム鉄:吸収率が低く、主に植物性食品に含まれる

この2つに分けて、食べ物を詳しく紹介します。

ヘム鉄を含む食べ物

ヘム鉄を含む動物性食品は、吸収がよいため妊娠中に意識して増やしたい食べ物です。赤身の肉や魚に多く含まれているため、下記の食べ物を増やすようにしてみましょう。

【鉄の含有量(100gあたり)】
・牛かた肉(脂身つき) 2.1mg
・いわし 2.1mg
・かつお 1.9mg
・さば水煮缶 1.6mg
・さんま 1.4mg
・牛もも肉(赤身) 1.3mg
・ぶり 1.3mg
・さば 1.2mg
・豚ひれ肉 0.9mg
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

※一部の魚には水銀が含まれるため、妊娠中は食べる量と頻度に注意が必要なものもありますが、上記の魚は注意が必要ないとされている種類です。

非ヘム鉄を含む食べ物

非ヘム鉄は主に植物性食品に含まれ、ヘム鉄に比べると吸収率の低い傾向があります。ビタミンCを含む野菜や果物と組み合わせると、吸収率を高められるため、意識して組み合わせてみましょう。

【鉄の含有量(100gあたり)】
・あさり水煮缶 30.0mg
・オートミール 3.9mg
・納豆 3.3mg
・小松菜 2.8mg
・厚揚げ 2.6mg
・枝豆 2.5mg
・水菜 2.1mg
・ほうれん草 2.0mg
・木綿豆腐 1.5mg
・卵 1.5mg
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

※あさりや卵 は動物性食品ですが、非ヘム鉄の含有量が多いため、こちらに分類しています。

鉄の摂取量を増やすポイント3つ

鉄が不足しないように摂取量を増やすためには、具体的にどのようなことを実践するとよいのでしょうか。ポイントを3つ紹介するので、ご自身の取り入れやすい方法を見つけてみてください。

魚を食べる回数を増やす

魚より肉を食べる頻度が高いという方は、ぜひ魚を食べる回数を増やしてみましょう。肉に比べると、魚のほうが鉄の含有量が多いため、鉄の摂取量を増やせます。料理にあまり手間をかけたくない場合は、手軽に使える缶詰を利用してもOKです。さば缶やツナ缶、いわし缶などでも鉄を補給できます。また外食や惣菜のメニュー選びの際に、焼き魚や煮魚などの魚料理を意識して増やしてみるのもよいでしょう。

大豆製品を毎日食べる

納豆や豆腐、厚揚げなどの大豆製品を毎日取り入れるようにしてみましょう。大豆製品は調理に手をかけずに簡単に取り入れられるため、続けやすいのがうれしいポイントです。大豆製品に含まれる非ヘム鉄は、ビタミンCとあわせて摂ることで吸収率を高められます。大豆製品を食べるときは、ぜひ野菜や果物もセットで食べるようにしてみましょう。

冷凍野菜や冷凍ストックを活用する

鉄が豊富な色の濃い野菜は、冷凍野菜や冷凍ストックを活用すると便利です。例えば、冷凍ほうれん草を味噌汁や炒め物に入れたり、冷凍枝豆を炒め物や煮物に入れたりすると、手軽に鉄の摂取量を増やせます。また小松菜は生のまま切って冷凍ストックしておけば、スープや炒め物などにパパっと使えます。忙しい日でも手軽に取り組めるため、ぜひ上手に活用してみてください。

 

妊婦健診では貧血のチェックがあるため、ぜひ自身の状態を把握しておきましょう。すでに貧血といわれている方は、医師や管理栄養士の指導のもと、食事の工夫をしてみるようにしてくださいね。

【参考文献】
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版) 」
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 」

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この記事の監修者:管理栄養士 広田千尋

 

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