ママの食べ物で食物アレルギーに!?妊娠中の食べ物と子どものアレルギー
公開日:2021年12月17日
記事監修:管理栄養士 松尾和美
妊娠中は、母体を通して赤ちゃんに栄養を与える大切な期間です。そのためカフェインやアルコール、生モノや食品添加物を控えたり…妊娠中は特に、毎日口にするものには気をつけたいですよね。妊娠中に食べたものでお腹の赤ちゃんが食物アレルギーになってしまう可能性はある…?たまご、小麦粉など、よくあるアレルギー原因物質を食べることは控えた方がいいの?そう思うママもいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は『ママの食べ物と食物アレルギー』についてのお話です。
2. そもそも食物アレルギーとはなにか?
厚生労働省のアレルギーポータルサイト及び小児のアレルギー疾患 保健指導の手引きによりますと、食物アレルギーとは、『ある特定の食べ物を摂ったあとにアレルギー反応があらわれる疾患のこと』を指します。食物アレルギーの症状は、身体のどこか一部だけにあらわれる場合もあれば、全身に複数の症状があらわれることもあります。具体的には、皮膚症状(じんましんなど)、消化器(腹痛、下痢、嘔吐など)、目(充血など)、呼吸器(くしゃみ、鼻水、咳、呼吸困難など)、神経(頭痛など)があらわれます。上記の症状が強くあらわれて、さらに血圧の低下や意識障害などを伴う場合を“アナフィラキシーショック”と呼び、生命の危険にまで及ぶことがある、と言われています。
乳幼児全体の5~10%、児童(学童期)全体の1~3%が食物アレルギーであると考えられています。ですが、多くの子どもが成長とともに腸管が発達して少しずつ改善してくるために、小さい頃食べられなかったものでも、成長と共にアレルギー原因食物が食べられることが多くなります。食物アレルギーの抗原は主に食べ物に含まれるたんぱく質です。
乳幼児期には小麦・大豆・鶏卵・牛乳などが原因の多くを占めるのに対し、学童期以降では甲殻類(エビ・カニ)・果物・そば・魚類(特にサバなどの青魚)・ピーナッツなどが原因の多くを占める、と原因が移り変わっていくという特徴があります。ただし学童期になっても乳幼児期の食物アレルギーが継続する場合もありますし、原因物質が乳幼児期のものに加えて増えるという場合もあります。
卵・牛乳・小麦は食物アレルギーの三大主要原因食品と言われており、全体の約60%以上を占めます。卵・牛乳・小麦は耐性ができやすく、一方、甲殻類・果物類・ナッツ類は年を重ねても耐性を獲得しにくいとされています。すなわち、前者は子どものうちに治りやすく、後者は治りづらく、大人になってからもアレルギーが発症する可能性があります。
2. パパ・ママのアレルギーは遺伝するのか?
ではパパとママのアレルギー体質は遺伝するのでしょうか?こちらも厚生労働省のアレルギーポータルサイト及び小児のアレルギー疾患 保健指導の手引きによりますと、『体質としてのなりやすさは遺伝するが、アレルギー疾患は遺伝的な要因だけでなく、生まれたあとの環境的な要因が大きく影響するため、必ずしも親と同じようにアレルギー疾患が発症するとはいえない』と考えられています。遺伝がすべてではありませんが、親または家族に食物アレルギー疾患の者がいる場合は、子どもがアレルギーになる確率は上がるとも言われています。
近年、食物アレルギーを持つ子どもは増加傾向にあります。過去数十年間でアレルギーを持つ子どもが増加してきたのは、主に外的要因(環境の変化など)によると考えられています。大気汚染、食品添加物摂取による腸内細菌層のバランスの崩れ(善玉菌が減る)、ペット飼育数の増加、親の喫煙などが子どものアレルギーに関係しているという研究結果もあります。ペットに関しては、毛のある動物と触れ合うことでアレルギー症状を起こすことがあるため、犬・猫・ハムスターなどを飼うときは注意が必要です。発症を予防するためには、アレルギーの原因物質を体内に進入させない環境作りをできる範囲で行うことが効果的です。
3. 妊娠中の食べ物でアレルギーになる?
「生まれてくる子どもには少しでもアレルギーのリスクを減らしたい」そう思って妊娠中にいろいろとネットや本で調べたことがある妊婦さんは多いと思います。この点に関しても、厚生労働省のアレルギーポータルサイト及び、小児のアレルギー疾患 保健指導の手引きによりますと、『妊娠中の食事で、生まれてくる子どものアレルギー疾患の予防のためによい食べ物はあるか?また制限した方がいい食べ物はあるか?』という疑問に対しては、妊娠中の特定食品(特にたんぱく質)の極端な制限は胎児の成長を妨げることがあり、一方で特定の食品の過剰摂取は子どものアレルギー発症を促進する可能性も否定できないため、妊娠中は特定の食品の制限や過剰摂取することなくいろいろなものをバランスよく食べることが大切。とされています。
基本的には和食を中心とした一汁三菜が理想です。主食のご飯から糖質を、野菜や果物からビタミンやミネラルを、肉・魚・卵・大豆製品などのさまざまなたんぱく質や脂質を意識して摂るようにしましょう。
妊娠中は体の変化に戸惑ったり、赤ちゃんが無事に生まれてくるか不安になったり、穏やかに過ごしたいと思っていてもなかなかそうはいかないかもしれません。あまり情報に過敏になりすぎずに、毎日バランスよく食事摂ることが理想ですが、栄養を摂りきれない分はサプリメントやプロテインなども利用し、トータルしてバランスのよい食事になることを心がけましょう。
たまには好きなものも食べてストレスを溜めすぎないように、マタニティライフを満喫しましょう。
この記事の監修者:松尾和美
保有資格
・管理栄養士
・野菜ソムリエ
・美肌食アドバイザー
・栄養療法ダイエットアドバイザー
・ベジフルビューティーアドバイザー
・ファスティングマイスター
・薬事法管理者
・コスメ薬事法管理者