コラム

妊娠前から必要な『葉酸』正しい摂り方や注意事項を徹底解説!

公開日:2022年2月9日

記事監修:管理栄養士 松尾和美

葉酸といえば、妊娠中は摂らないといけないという認識は皆さんあると思いますが、実は妊娠する前から摂る必要があること、その理由、また葉酸の摂り方には注意点があることなどご存知でしょうか?今回は管理栄養士が葉酸について改めてご説明します。

葉酸とはそもそもどんな栄養素?

葉酸と聞いて、どんな栄養素かわかりますか?葉酸とは水溶性ビタミンで、ビタミンB群の1種です。ビタミンB12とともに赤血球を作るので、「造血のビタミン」と言われていて、主に緑色の野菜類に多く含まれています。なぜ妊娠前から妊娠中には、葉酸が必要なのでしょうか?

1.妊娠中の女性の多くが、ビタミンやミネラルが不足しているため

厚生労働省が掲げる『妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針』によりますと、妊娠中の女性は多くのビタミン・ミネラルについて、摂取量が十分ではないことが報告されています。その中でも特に、葉酸と鉄が不足している栄養素として挙げられます。そのため、いつも以上に意識して摂る必要があるのです。

2.先天性異常のリスクを下げることができるため

葉酸は、お腹の赤ちゃんの先天性異常の1つである、『神経管閉鎖障害』を防ぐために必要な栄養素です。お腹の赤ちゃんの神経管ができる時は受胎後約28日ですが、一般的に妊娠に気がつくのは神経管ができた後、おおよそ妊娠2ヶ月が多いと言われています。もし葉酸を十分に摂取していない場合、お腹の赤ちゃんが神経管閉鎖障害になる可能性が高まり、無脳症・二分脊髄・髄膜瘤になるリスクが高まると言われています。ただし葉酸だけをしっかり摂っていれば神経管閉鎖障害が必ずしも防げるわけではなく、あくまで考えられる原因の1つであるということを念頭に置いて、バランスの良い食事を常に意識していくのが良いです。

こういう理由から、葉酸を妊娠に気づく前の時期から妊娠中にかけては、十分に摂取することが大切だと言われています。野菜は葉酸が含まれる代表的な食材ですが、若年の女性の野菜摂取量は、厚生労働省が掲げる指針『健康日本21』の目標値である、1日350gに達していないと言われています。妊娠を意識した段階から妊娠中も、意識して野菜を摂っていただきたいです。

葉酸の適切な摂り方とは?具体的にどれくらい摂れば良いのか

1日に必要な葉酸の量とは?

日本人の食事摂取基準2020では、神経管閉鎖障害を予防するためには、妊娠中(※妊娠初期)は1日400μgを摂取することが望ましいと示されています。葉酸が多く含まれる野菜には、ブロッコリー・枝豆・ほうれん草など、果物にはいちご・マンゴーなど、海藻類には海苔などがあります。具体的にブロッコリーですと通常のサイズの1/3ほど、枝豆ですと1日に75房ほど、ほうれん草ですと1束(200g)ほど、いちごでは30粒ほど、海苔ですと7枚ほど摂れば、妊娠前(妊娠の可能性がある方)から妊娠初期の方に必要な葉酸が摂れます。
18~29歳で900㎍、30~64歳で1,000㎍、65歳以上で900㎍と1日あたりの耐容上限量が設定されているため、この量以上に摂らない方が良いとされていますが、基本的に葉酸は水溶性ビタミンなので、体に蓄積されず尿中に排出されます。葉酸の過剰症はあまり心配することはないと考えて良いでしょう。

葉酸を摂るときに注意すること

葉酸は水溶性ビタミンなので、水で煮ると水の中へ栄養素が溶け出してしまいます。そこで、葉酸が含まれるブロッコリーなどの野菜を食べるときは、できるだけ茹で汁をそのまま使うか生で食べていただくと、葉酸を余すことなく摂ることができます。ただしほうれん草はシュウ酸が含まれており尿路結石の原因の1つになるため、ほうれん草に関しては、先に茹でて茹で汁は廃棄していただく方がおすすめです。また水溶性ビタミンは体に貯蔵することができないため、1食で大量に食べるよりも、毎食こまめに食べていただくと葉酸がきちんと摂れます。

 

妊娠計画中から妊娠中にかけては、しっかりと葉酸を摂ることが大切だとわかっていただけたでしょうか?食事から毎日毎食意識して葉酸を摂るのが良いとはわかっていても、フルタイムで仕事をしていたりすると忙しく、毎日自炊は難しい、また妊娠中はつわりでなかなか食事が摂れない、このようなお悩みを持つ方は、家事サポーターさんに作り置きをお願いしたり、葉酸のサプリメントを上手く活用してみるのもおすすめです。

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この記事の監修者:松尾和美

保有資格

・管理栄養士
・野菜ソムリエ
・美肌食アドバイザー
・栄養療法ダイエットアドバイザー
・ベジフルビューティーアドバイザー
・ファスティングマイスター
・薬事法管理者
・コスメ薬事法管理者

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