コラム

家族で知っておきたい、家庭でできる食中毒対策

公開日:2022年3月9日

記事監修:管理栄養士 松尾和美

食中毒というと多くは飲食店で発生しているような印象があるかもしれませんが、実は毎日食べている家庭の食事でも発生しています。家庭での食中毒の発生では症状が軽かったり、家庭内で発症しても1人〜数人のことが多いことから、風邪などと思われて食中毒だとは気づかないという場合があるようです。特に免疫の低くなっている妊産婦や赤ちゃんなどは、単なる風邪かと思っていたら実は食中毒で、気づかないうちに重症化するということもあるようです。恐ろしいですよね。今回は家族で知っておきたい家庭内でできる食中毒の対策について、管理栄養士が解説します。

食中毒とは?

食中毒は、その原因となる細菌やウイルスが食べ物に付着し、それが体内へ侵入してしまうことによって発生します。カンピロバクターなどの細菌、ノロウイルスなどのウイルス、ふぐや貝などの自然毒、他にも化学物質、寄生虫など様々あります。
日本は湿度が高いため、6〜9月に最も食中毒が起きやすいと言われていますが、一方で、ノロウイルスは空気が乾燥した冬場に起きやすくなっています。基本的にいつでも食中毒は起こり得ると考えておいた方が良さそうです。

妊産婦、赤ちゃんがかかりやすい!気をつけたい食中毒

妊娠中はホルモンバランスも変わりますし、免疫力が下がる傾向があります。また、産後は身体が回復しきっていない上に睡眠不足が続いていると、やはり免疫力も下がりやすくなります。免疫力が下がった状態や十分ではない状態では、食中毒にかかりやすいです。厚生労働省から出されている資料に、妊産婦のママを対象にした食中毒予防を謳っているリーフレットがあり、そこでも注意が必要とされています。
また、赤ちゃんや小さいお子さんも免疫力がまだ十分でなく、食中毒にかかりやすい状態といえます。食中毒予防のためにできる対策について、このタイミングでぜひ知っていただき、離乳食など作る際も十分に気をつけましょう。

食中毒を予防するための三原則

食中毒を予防するためには三原則があります。ご存知ですか?

1.食中毒菌をつけない

私たちの手にはいろいろな雑菌がついています。次のタイミングでは、必ず手を洗っていただくことをおすすめします。

①調理を始める前
②生肉・生魚・生卵などを取り扱う前後
③トイレに行ったり、鼻を触ったりかんだりした後
④赤ちゃんのおむつを変えた後(特に排便)
⑤動物に触れたりした後
⑥ご飯を食べる前

生肉や生魚などを調理したまな板などの器具から、野菜へ菌が付着してしまうということもあります。まな板や包丁は色分けをして使い分けておくと、誰が使うときでもわかりやすくて安心です。
焼肉の場合には、生肉をつかむトング(箸)と焼けた肉をつかむトング(箸)は別のものを使うようにしていただくと安心です。意外とできていない方が多いのではないでしょうか?特に豚肉と鶏肉、牛ホルモンや牛タンなどについては、しっかりと焼くようにしてください。

2.食中毒菌を増やさない

食べ物についている細菌を増やさないためには、冷蔵庫の中の冷蔵室やチルド室などを活用し、低温の場所で保存することが重要です。生肉や生魚やスーパーなどで購入した総菜は、購入後、なるべく早めに冷蔵庫に入れましょう。チルド室は、凍らせずに冷やして長持ちさせたい食品に向いていて、0~3℃(0〜2℃の場合もあり)に設定されていることが多いです。チルド室は冷蔵室より低温で、冷凍室よりは高温の温度設定なので、生肉や生魚、チーズやハムなどの加工食品、生麺、惣菜、ゼリーやケーキ、納豆などの発酵食品などを保存するのに最適です。
なお、たとえ冷蔵庫に入れて保存したとしても菌はゆっくりと増殖するため、消費期限にとらわれず早めに食べることが大事です。

3.食中毒菌をやっつける

ほとんどの細菌やウイルスは加熱によって死滅します。肉や魚、卵、野菜なども十分加熱して食べるようにしていただくと良いでしょう。特に肉料理は中心までよく加熱することが大事で、中心部の温度を75℃にして1分以上加熱することです。食べ物にさして測る温度計があるため、子供のご飯を作るときなどは特に、一つ持っていると安心ですね。
まな板、包丁などの調理器具にも、細菌やウイルスが付着します。特に生肉や生魚、生卵などを使った後は洗剤でよく洗い、まんべんなく調理器具に熱湯をかけて殺菌する習慣をつけることをおすすめします。

家庭でできる!食中毒予防の6つのポイントとは?

1.食品の購入のとき

①消費期限をしっかり確認しましょう
消費期限とは袋や容器を開けないままで、書かれた保存方法を守って保存していた場合に、この「年月日」まで「安全に食べられる期限」のことです。お弁当、サンドイッチ、生めん、ケーキなど、いたみやすい食品に表示されています。なお、賞味期限はおいしく食べられる期限なので、消費期限とは異なります。

②生肉と生魚・生野菜は分けましょう
菌がうつるのを防ぐため、刺身など生でそのまま食べられる生魚や生野菜と、加熱して食べる生肉はパックを別にして包むくせをつけると良いでしょう。ショッピングバッグを分けて持ち歩くのもおすすめです。

③買い物の後は寄り道をせずになるべく早く帰りましょう
複数の種類のものをスーパーで買う場合、特に生肉や生魚は買い物の最後に選び、その後は極力寄り道せずに帰ることをおすすめします。温度の上昇は食中毒の原因になり得ます。

2.家庭での保存のとき

①肉や魚は汁が漏れない様に気をつけて保存しましょう
食品トレーをさらにビニール袋で包むなどして生肉や生魚の汁が冷蔵庫内に漏れ出さないように気をつけていただくと安心です。

②冷蔵庫に入れるのは7割程度にしましょう
冷蔵庫の容量いっぱいに入れてしまうと冷やす力が落ちる場合があります。ある程度隙間を空けて保存していただくと良いでしょう。

③冷蔵室、冷凍室の温度管理をこまめにしましょう
冷蔵室は10℃以下、冷凍室は-15℃以下、そしてチルド室は0〜3℃(0〜2℃の場合もあります)が保たれているか、こまめに確認しましょう。

3.家庭での下準備のとき

①ごみはこまめに捨てましょう
特に生ごみは腐敗が早く進むため、しっかりと袋を縛り、漏れないようにして早めに捨てるようにしましょう。

②タオルやふきんはこまめに取り替えましょう
手を拭くタオルやふきんはこまめに取り替えるか、使い捨てのものを使うと安心ですね。濡れた状態で放置していると、菌が繁殖しやすくなります。

③冷凍食品の解凍は冷蔵室で行いましょう
菌の繁殖を防ぐために、冷凍食品の解凍は常温で行わず、必ず冷蔵室で行いましょう。

④生で食べる野菜と生肉や生魚は離しておきましょう
そのまま食べるサラダ野菜は、生肉や生魚とは冷蔵庫内で距離を離して置くようにしましょう。菌がサラダ野菜についてしまうのを防ぐためです。また、生肉や生魚は赤ちゃんの離乳食からも離しておくようにしてくださいね。

4.家庭での調理のとき

①調理を始めるときは、先に手洗いをしてからにしましょう
手にはトイレの床ほど細菌がついていると言われています。調理は必ず石鹸で手洗いをしてから始めましょう。

②中心温度は75℃で1分以上を目安に加熱しましょう
特に肉については中心温度を75℃で1分以上加熱してください。温度計を使えば安心です。

③電子レンジで加熱するときは熱が均一になるようにしましょう
電子レンジを使うときは途中で一旦止めて、食材の向きを替える、ひっくり返すなどして、まんべんなく加熱されるようにしていただくと良いでしょう。

5.家庭での食事のとき

①食べる前にも必ず手洗いをしましょう
調理前と同じように、食べる前にも必ず石鹸で手を洗うようにしましょう。さらにアルコール消毒をしたら安心ですね。

②食事を長時間常温に置いておかないようにしましょう
家族で食べる時間に時差がある場合は、盛りつけをして常温の状態で長時間置いておかないようにしましょう。ラップをして冷蔵室に保管しておくと良いですね。

6.残った食品の扱い方

①時間が経ち過ぎた食事は思い切って捨てましょう
食事を捨てるのはもったいない、と思ってしまいますが、食中毒になると大変です。少しでもおかしいなと思ったときは、潔く処分してくださいね。特に表面がテカテカしていたり、粘っていたり、味に酸味が出てきたらいたんでいます。

②再加熱するときはしっかりと温めるようにしましょう
残った食事を翌日に食べるなどするときは、中心温度が75℃以上になるように、また1分以上は加熱するようにしましょう。ただし、再加熱しても味や見た目が少しでもおかしい場合は食中毒の可能性があるため、その場合は処分してくださいね。

 

お伝えしてきたとおり、食中毒予防は衛生管理が大事ですが、しっかりご飯を食べ、よく寝て、菌を体の中でもやっつけられる体調管理をすることも大切なポイントです。産後は自分の体力回復と離乳食と大変ですが、頼れるところは周りに頼り、ストレスを溜めない生活を心がけてください。できるところから始めていきましょう。

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この記事の監修者:松尾和美

保有資格

・管理栄養士
・野菜ソムリエ
・美肌食アドバイザー
・栄養療法ダイエットアドバイザー
・ベジフルビューティーアドバイザー
・ファスティングマイスター
・薬事法管理者
・コスメ薬事法管理者

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