今話題のグルテンフリーとは?グルテンフリー簡単レシピをご紹介
公開日:2022年6月22日
記事監修:管理栄養士 松尾和美
グルテンフリーという言葉を聞いたことがありますか?一般にはグルテンを含む食品を摂取しない食生活のこととして、この言葉が使われています。グルテンフリーという言葉は最近では一般的にも知られるようになっており、特に健康意識の高い方からの支持を集めています。また、近年小麦粉の値上げが続くことが要因で、更に注目をされています。グルテンフリーのメリットとは?簡単レシピもご紹介します。
グルテンフリーとは?
まずグルテンとは、小麦などに含まれるたんぱく質の一種で、小麦の場合、グルテニンとグリアジンという2種類のたんぱく質が絡み合ってできたものです。グルテニンの「弾力があるが伸びにくい」という性質・グリアジンの「弾力はないが粘着力が強く伸びやすい」という性質が結びつき、こねればこねるほど弾力と粘り気のある生地ができ上がります。このグルテンの性質を利用してパンやパスタ・ラーメンなど、小麦粉を使った食品が世界中で愛されていますよね。
グルテンフリーはセリアック病患者の食事療法として生まれました。セリアック病とは、遺伝性の自己免疫疾患でグルテンに異常反応を示し、腹痛や下痢・倦怠感など様々な症状が出る疾患です。ほかにも小麦たんぱくによる不調の一つにグルテン過敏症というものもあります。これはセリアック病のような自己免疫疾患ではなく、発症原因はほとんど解明されていないのが実情で、下痢や便秘・腹痛・疲労感・鼻炎などが症状として現れます。アメリカでは20人に1人の割合で症状が出ていると言われており、日本でも食生活の欧米化により患者数が増えていると推測されます。
グルテンフリーは世界的に有名なテニスプレーヤーが、「グルテンフリーの食事にしたことで体の調子が良くなった」と著書を出版したことで注目されました。様々な食品に含まれるグルテンですが、消化しづらいという特徴を持ち、体質によっては摂りすぎると便秘になるというケースもあります。そのため、グルテンフリーの食生活に切り替えることで、便秘を改善することができる場合があります。それに伴って、美肌が叶った、という方もいます。冒頭でも書きましたが、今ではセリアック病でなくても、健康意識・美意識の高い人に多く取り入れられるようになってきています。
近年増えている小麦アレルギー、代用品は?
小麦は食物アレルギーの第3位に位置するアレルゲンです。他のアレルギー源と違い、小麦のグルテンは加熱によってアレルギーを引き起こす力(抗原性)が弱くなるわけではないという特徴があります。子どもの場合、胃腸の消化吸収機能が十分に備わっていないため、小麦に含まれる成分を分解することができず、小麦アレルギーなどの食物アレルギーを引き起こしやすいです。通常は成長につれ自然に改善していくことが多いのですが、大人になっても胃腸の消化吸収機能が十分でない場合に、アレルギー反応を起こすことがあります。
近年、小麦アレルギーが増えています。環境の変化や、また加工食品やインスタント食品などを食べる機会が増えていることで、アレルゲン食物を口にする機会が多くなっていることも原因の一つです。なお、妊娠中に食べると赤ちゃんが小麦アレルギーになるのでは?と気にする方もいるかもしれませんが、それは気にしなくて大丈夫です。アレルギーの治療は自己判断で完全除去してしまうのではなく、医師の指示のもと摂取量を定めて治療や食事療法を進めていきましょう。
小麦の代用品として、米粉がよく使われます。米粉とは、お米を細かく砕いて粉状にしたものです。お米はこれまではご飯として食べることが一般的でしたが、米粉が普及したことにより、小麦粉のようにパンやケーキなど加工して食べる、新しい食べ方が今注目されています。
米粉の特徴はまず、もちもちとした食感があります。また、油で揚げると小麦粉に比べてサクサクとした食感になります。これは、米粉の吸油率が小麦粉に比べて低いためです。
米粉には粘りのもととなるグルテンがないため、粉どうしがくっつきにくくダマになりにくいという特徴があります。小麦とは違う性質を持つため、小麦と同じように使用すると硬い仕上がりになったり、ふくらみが悪くなったりすることもあります。近年では米粉の加工技術が進み、製菓用の米粉・パン用の米粉・米ゲル(ライスジュレ)など様々な商品が販売されており、そのようなものを使うことで、失敗なく美味しい仕上がりのお菓子やパンを作ることができるようになりました。
今まで米粉のパンやお菓子は美味しくない、という印象を持っている方も、試してみるとその美味しさに驚いてしまうかもしれません。米粉を使ったグルテンフリーのレシピ2品をご紹介します。
米粉を使ったレシピ
米粉のチヂミ(2枚分)
【材料】
ニラ 1束
人参 1/3本
じゃがいも 1個
卵 1個
米粉 200g
水 550ml
サラダ油 適量
ごま油 適量
【作り方】
① じゃがいもは皮をむいてすりおろし、ニラは2cm程度の長さに切る。人参は皮をむいて細切りにする。
② 卵1個を割り溶き、①のじゃがいもと米粉を混ぜ合わせる。
③ さらにニラと人参を混ぜ合わせ、水を少しずつ加えて混ぜていく。
④ フライパンにサラダ油をしいて熱したら、1/2量流し入れて片面に焼き色がつくまで中火で焼く。フライパンを振って生地が動くようになったらひっくり返し、蓋をして弱火で2分ほど焼く。
⑤ 鍋肌からごま油を流し入れ、周りがカリっとしたら器に移す。食べやすい大きさに四角く切り、でき上がり。酢醤油などが合います。
米粉の抹茶マフィン(3~4個分)
【材料】
卵 1個
砂糖 40g
サラダ油 40g
プレーンヨーグルト40g
米粉 70g
抹茶パウダー 5g
ベーキングパウダー2g
【作り方】
※オーブンを180℃に予熱しておく
① 卵を泡だて器で泡立てて砂糖を加える。
② サラダ油を少しずつ加え、乳化させる。
③ ヨーグルトを加えよく混ぜ、米粉・抹茶パウダーを加える。
④ 最後にベーキングパウダーを加えてよく混ぜ、型に入れてオーブンで20分焼く。
最近は市販でも美味しいグルテンフリーの商品も増えているので、手に取ってみたり、米粉を使ったお菓子やお料理を生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
今回は今話題のグルテンフリーについてのお話でした。もちろん個人の体質により、効果を実感できる人、できない人、差はありますが、グルテンを控えることで、妊娠中のマイナートラブルの一つである便秘の改善にも効果が期待できそうです。ご飯中心の食生活に切り替えてみると自然に和食中心の食生活になり、バランスの取れた食事で毎日の食卓が豊かになります。グルテンフリーを意識しすぎると、あれもダメ・これもダメ、と制限ばかりになってしまい、食べる楽しみが減ってしまうかもしれません。麺類は10割そばを選んでみる・米粉で作られたビーフンやフォーを試してみる、なども良いですね。全て100%、という考えではなく、適度に生活に取り入れてみることから始めてみてはいかがでしょうか。
この記事の監修者:松尾和美
保有資格
・管理栄養士
・野菜ソムリエ
・美肌食アドバイザー
・栄養療法ダイエットアドバイザー
・ベジフルビューティーアドバイザー
・ファスティングマイスター
・薬事法管理者
・コスメ薬事法管理者