知れば知るほど怖い妊娠糖尿病!予防するための食事の選び方
公開日:2023年9月7日
記事監修:管理栄養士 松尾和美
妊婦健診に通う中で突然妊娠糖尿病と言われて焦ってしまった、という経験がある方が実は多くいます。特に病院から事前に指導されることがないため、聞いたことはあってもどこか他人事だと思ってしまいがちですが、妊娠糖尿病はある日突然なるもので、しかも本人だけではなく赤ちゃんにも影響が出ると言われています。そもそも妊娠糖尿病とは?そのリスク、食事で予防する方法を管理栄養士が解説します。
妊娠糖尿病とは?
妊娠糖尿病とは、妊娠中に発症し、糖尿病まで至っていないものの、糖代謝の異常が見られる状態をさします。妊娠前から既に糖尿病と診断されている場合や、妊娠中に明らかな糖尿病と診断された場合は含めません。妊娠糖尿病は、それまで何も異常がなくても、ある日突然なることもあると言われています。基本的に妊娠中に血糖値が上がっても、産後に血糖値は正常に戻ることが多いですが、妊娠糖尿病になった場合、将来的に糖尿病になってしまうケースもあります。
妊娠糖尿病になると、早産、羊水量の異常、妊娠高血圧症候群、最悪の場合流産などにもなる可能性があります。また赤ちゃんにも影響があり、発育遅延、低カルシウム血症、新生児低血糖などに繋がる可能性があると言われています。本人にも赤ちゃんにも双方へリスクがあるため、とても怖いですし、予防していきたいですよね。
妊娠糖尿病の原因は?
妊娠糖尿病のリスクが上がる原因をいくつか紹介します。
① 糖尿病の家族がいる(体質が似ているため)
② 肥満傾向である
③ 35歳以上の高年齢妊娠、などです。
ただ上記の方のみでなく、妊娠中は誰にでも起こり得ます。妊娠をするとママがおなかの赤ちゃんへ栄養を送ります。その際に、胎盤でインスリンを抑える酵素が発生し、その結果、血糖値が上がりやすくなり、妊娠糖尿病になるケースがあると言われています。
そもそも一般的に肥満傾向の方は妊娠時に限らず糖尿病になるリスクが高いと言われていますが、妊娠すると、肥満傾向ではない方でも赤ちゃんを育てるために体に脂肪がつきやすい上に、赤ちゃんに栄養を送る際に胎盤からインスリンを抑える酵素が出るため、糖尿病になるリスクが格段に上がると言われています。
妊娠糖尿病の予防法は?
妊娠糖尿病にならないために、妊娠したら「血糖値」に着目した食事を心がけていただくと良いでしょう。ポイントは大きく分けて3つあります。
1つ目は野菜から食べるベジタブルファーストを守ること
2つ目は肉や魚などのたんぱく質をしっかりと摂ること
3つ目は主食(糖質)に食物繊維を混ぜることです。
具体的な方法について解説します。
野菜から食べるベジタブルファースト
「ベジタブルファースト」は聞いたことがある方も多いかもしれません。野菜は食物繊維が豊富です。キャベツやレタスなど生で食べられたり、小松菜やほうれん草など茹でて食べられる葉物野菜は特におすすめです。これらの葉物野菜に含まれる食物繊維は、網のようなイメージで、余分な糖質や脂質をくるんで体外に出してくれる働きがあります。
そこで、糖質が多く含まれている食事や脂質が多く含まれている食事よりも前に野菜を食べる、「ベジタブルファースト」を実践していただくと良いでしょう。野菜以外にも、わかめやもずくなど海藻類も同じく食物繊維が豊富なのでおすすめです。この際、塩・ポン酢など低糖質・低脂質の調味料で食べるようにしてくださいね。
一方で、じゃがいもやさつまいもなどのサラダや、葉物野菜でもマヨネーズやドレッシングを多くかけたりすると、糖質が多く逆効果なので、おすすめできません。
肉・魚・卵・大豆製品などのたんぱく質をしっかりと摂る
たんぱく質と血糖値は関係あるの?と思った方もいるのではないでしょうか。私たちが体を動かすと、筋肉がブドウ糖を消費します。しかし、体のたんぱく質が不足して筋肉の量が減ると、ブドウ糖を消費できる量が減ってしまい、結果として血糖値が上がってしまうことにつながるのです。また、筋肉は食べ過ぎて余ったブドウ糖を貯蔵する働きもありますが、筋肉の量が減るとブドウ糖を十分貯蔵できず、結果として血糖値が上がってしまうことにつながります。そのため筋肉が減ってしまわないように、肉・魚・卵・豆腐や納豆などの大豆製品を毎食食べるようにしてください。なかなかつわりで食事を摂ることができない場合は、プロテインなども活用していただくと良いでしょう。
主食(糖質)に食物繊維を混ぜる
白米や精製された小麦粉には食物繊維がほとんど含まれません。食物繊維には余分な糖質や脂質をくるんで体外に出してくれる働きがあるため、同じ主食として食べるのであれば、玄米やきびやひえなどの雑穀を混ぜたご飯や、全粒粉や小麦ブランが含まれるパンを選び、食物繊維が摂れるようにすることが大切です。そしてゆっくりと噛んで時間をかけながら食べていただくと、急激な血糖値の上昇を抑えることができます。
今回は妊娠糖尿病の説明とそのリスク、そして食事で予防する方法までを解説しました。非妊娠時から肥満傾向である方は、特に気をつけて血糖値コントロールを意識していただき、そうでない方も妊娠中は誰でも可能性があることを覚えておいていただき、血糖値が上がりにくい食事のポイントを頭に入れ、意識した食事を心がけてみてください。本人にも赤ちゃんにもリスクがあり、将来的にも健康の懸念になる可能性がある妊娠糖尿病に気をつけて、妊娠生活を楽しんで過ごしていきましょう。
この記事の監修者:松尾和美
保有資格
・管理栄養士
・野菜ソムリエ
・美肌食アドバイザー
・栄養療法ダイエットアドバイザー
・ベジフルビューティーアドバイザー
・ファスティングマイスター
・薬事法管理者
・コスメ薬事法管理者