公開日：2023年10月18日

記事監修：管理栄養士 松尾和美

おなかの赤ちゃんへの影響から、妊娠中に体調を崩しても普段飲んでいる薬を使うことができません。過ごしやすい秋から寒い冬になるこの季節の変わり目は、風邪をひいたり疲れやすかったりと、体調を崩しやすくなります。今回は、なかなか薬が飲めない妊娠中に免疫力を落とさないよう、しっかりと栄養を摂れるおすすめの食材についてお伝えします。

妊娠中は体調を崩しやすいって本当？

妊娠は精子と卵子が受精し、着床することで成り立ちます。一般的な体の働きとして、自分にないものを異物として攻撃して体外へ排除しようとするため、妊娠が成立すると、受精卵すなわち赤ちゃんを誤って異物として攻撃してしまわないように、自然と免疫力を下げてきちんと妊娠を継続できるようにします。そのため、女性は妊娠すると免疫力が下がり、いつもより疲れやすくなったり、体調を崩しやすくなったりします。妊娠中に体調を崩すと余計に体が重くて辛いですし、薬も飲めないので、免疫力をアップし病気にならないようにしていきたいですね。

免疫力を落とさない、予防のために摂りたい栄養と食材とは？

薬が飲めないからこそ事前に予防し、体調不良にならないようにしたい、そんな時にできることは、免疫力をアップさせる栄養素を摂ることです。具体的にどのような栄養素が必要なのかを解説します。

ビタミンＡ

ビタミンＡには、喉や鼻などの粘膜を強くする働きがあります。通常、風邪菌は喉や鼻などの粘膜から侵入するため、粘膜を強くする働きのあるビタミンＡは、風邪菌などから体を守るために摂りたい栄養素です。ビタミンＡが含まれる主な食材は、肉類ではレバー、魚介類では鮭・鮪・ニシン、野菜類ではにんじん・かぼちゃ、果物類ではマンゴーなどです。ビタミンＡは脂溶性ビタミンのため、油と一緒に食べると吸収が良くなります。油で炒める、オイルが入ったドレッシングやバターなどと一緒に食べる、などをおすすめします。

ビタミンＢ６

ビタミンＢ６には、たんぱく質の代謝を助けるとともに、免疫機能を正常に維持する働きがあります。体の大部分はたんぱく質を原料として作られているため、口から食べたたんぱく質源を体に吸収し、筋肉・皮膚・血液・ホルモンなどへ作り替える際に不可欠な栄養素だと言えますし、健康的な体を作るために摂りたい栄養素です。ビタミンＢ６が含まれる主な食材は、魚介類では鮭・鮪・鯖、豆類では大豆・ひよこ豆、野菜類ではさつまいも・じゃがいも、果物類ではバナナなどです。ビタミンＢ６は水溶性ビタミンのため、一度にたくさん摂っても一定量以上になると尿の中に排泄されてしまうため、こまめに摂ることがポイントです。

ビタミンＣ

ビタミンＣには、免疫細胞や免疫物質ＩｇＡの働きを活発にして、外部から侵入したウイルスと戦う働きや、抗酸化作用を持つために、過剰に生まれた体のサビの原因となる活性酸素を消し去り、体への負荷を減らす働きがあります。ストレスで消耗するため、普段からストレスが多いなと感じる方は、特に摂りたい栄養素です。ビタミンＣが含まれる主な食材は、野菜類ではブロッコリー・黄ピーマン・赤ピーマン、果物類では柿・キウイ・いちご・レモン・オレンジなどです。ビタミンＣも水溶性ビタミンのため、ビタミンＢ６同様こまめに摂ることがポイントです。

ビタミンＥ

ビタミンＥには、免疫機能を正常に保ち、赤血球の溶血の防止や生殖・妊娠を正常に保つ働きがあります。さらにビタミンＣと同様に強い抗酸化作用があり、過剰に生まれた体のサビの原因となる活性酸素を消し去り、体への負荷を減らす働きがあります。ビタミンＥが含まれる主な食材は、野菜類ではアボカド・ケール・ほうれん草・トマト、ナッツ類ではアーモンド・ヘーゼルナッツ・ピスタチオなどです。ビタミンＥはビタミンＡと同じく脂溶性のため、油と一緒に食べると吸収が良くなります。

 

妊娠中に免疫力を落とさないよう、取り入れたい食材についてご紹介しました。これから少しずつ寒くなるので、ぜひ今日からの食事で意識してみてくださいね。また、食事と同じくらい大切なのは、実は「ストレスを溜めないこと」です。「免疫力を下げないためにしっかり食べなくちゃ」「でも今日もあまり食べられなかった…」などと、悩むこと自体もストレスの原因となります。妊娠中のストレスはおなかの赤ちゃんにとって良くありませんし、本人にとっても免疫力を落とすことにつながります。あまり考えすぎず、どうしても食べられない時は食事のみで摂ろうとせず、サプリメントやビタミン入りのプロテインなどで栄養素を摂ることも視野に入れてみてください。

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この記事の監修者：松尾和美