コラム

妊娠中のマイナートラブル便秘!妊娠中の便秘の原因と解消法

女性はもともと便秘になりやすく、悩みを抱えているという方も多いのではないでしょうか。ある調査によると便秘に悩んでいる女性は48%、なんと2人に1人の割合と言われています。妊娠中はさらに顕著に症状が出る場合が多く、今までは便秘の悩みがなかったのに妊娠をきっかけに便秘になってしまったり、今までの便秘が重症化したりする場合もあります。便秘が続くと自身の身体がしんどいだけでなく、お腹の赤ちゃんへの影響もあるのでは?と不安に感じるかもしれません。
今回は、妊娠中に起こる便秘の原因や胎児への影響、便秘解消法などについてお話します。

<目次>
1. 妊娠中に起こる便秘の原因
2. 便秘が続くことで赤ちゃんに影響は?
3. 便秘の解消法

1. 妊娠中に起こる便秘の原因


妊娠すると、卵巣内の黄体という場所で作られる黄体ホルモン(プロゲステロン)というホルモンが増加します。妊娠中は常にこの黄体ホルモンが優勢に働きます。特に妊娠12〜15週ごろには胎盤が形成され、今までは卵巣からのみ出ていたホルモンが胎盤から放出されるようになり、非妊娠時の周期とは比べ物にならない量が分泌されるようになります。このホルモンは体温を上昇し、妊娠の継続を助けてくれる大切なホルモンなのですが、消化管の収縮を抑える作用があるため腸の動きが鈍り、これが便秘の原因となります。
さらに黄体ホルモンは、胎児の成長に合わせて子宮が大きくなれるように子宮周辺の筋肉を緩める働きがあります。この働きが大腸を動かす筋肉まで緩めてしまい、その結果妊娠中は腸のぜん動運動が弱まって便が排出されにくくなってしまいます。この大腸の働きが弱まって起こる便秘は「弛緩性便秘」と呼ばれ、妊娠初期から産後まで続くことが多いと言われています。その他、便秘の原因として、つわりにより食事量が減り作られる便の量が減ってしまうことや、運動不足により大腸の動きが低下することなどがあげられます。

2. 便秘が続くことで赤ちゃんに影響は?

便秘の状態はお腹の赤ちゃんに悪影響を与えることはないと言われていますが、便秘によりお腹が張りやすくなり、その張りが便秘によるものなのか、子宮の収縮による張りなのか区別がつかなくなる恐れがあるため、早めに解消したほうが良いでしょう。ただし、便秘が辛いからといって強くいきむのは絶対にやめましょう。いきむことで腹圧がかかり、切迫早産(早産の一歩手前の状態)のリスクを高める可能性があります。ひどい症状が続く場合は我慢せずに産婦人科に相談しましょう。

3. 便秘の解消法

①食事

【2種類の食物繊維をバランス良く摂る】
食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類が存在します。不溶性食物繊維はその名の通り水に溶けない食物繊維で、水分を吸収して膨らみ、便のカサを増やして腸の働きを刺激します。一方で、水溶性食物繊維は水に溶けてゲル状になり、他の便と混ざり合って柔らかい便になります。

(水溶性食物繊維が多く含まれる食品)
・昆布やわかめなどの海藻類
・りんごや柿などの果物
・山芋、オクラ、モロヘイヤなどのねばねば食材

(不溶性食物繊維が多く含まれる食品)
・納豆、あずきなど豆類
・ごはんや玄米などの穀物
・さつまいもやごぼうなどの根菜類
・エリンギなどのキノコ類

(不溶性・水溶性どちらの働きも持つ食品)
・ごぼう、人参、じゃがいも、キウイフルーツ、プルーンなど

不溶性食物繊維は主食となる米にも含まれるため、体重コントロールのためにと主食を抜いていると便のカサが減り便秘になってしまうことがあるので、3食主食を摂ることが大切です。
もち麦には食物繊維が白米の約20倍あります。毎日食べる白米にもち麦や雑穀を混ぜて炊くと手軽に食物繊維の摂取量を増やすことができます。一般的に食物繊維と聞いて思い浮かぶものは繊維質な野菜などの不溶性食物繊維かもしれません。しかし、不溶性食物繊維ばかり摂っていると大きくカサが増した便をうまく出すことができず、かえって便秘がひどくなってしまうことがあります。不溶性食物繊維で便のカサを増やし、水溶性食物繊維で柔らかくして出す、というイメージを覚え、この2種類の食物繊維をバランス良く摂ることが大切です。
現代の日本の食卓は洋食化が進み、海藻類を食べる機会が減少しています。わかめはみそ汁やサラダに簡単に使えますし、めかぶやもずくは食卓が物足りない時のプラス一品に役立ちます。ぜひ、不足しがちな水溶性食物繊維を意識してみましょう。

<今注目のシンバイオティクス>
食物繊維を摂ることで腸内にとって良いことがもう1つあります。それは食物繊維が腸内細菌の善玉菌のエサになるということです。ビフィズス菌や乳酸菌・納豆菌など、菌そのものを体内に摂り入れることを「プロバイオティクス」と言います。一方、善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖を摂ることで善玉菌を増やすことを「プレバイオティクス」と言います。この2つを同時に組み合わせることを「シンバイオティクス」と言い、組み合わせて一緒に摂ることでより効果的に腸内環境を改善できると期待されています。
例えば、ヨーグルトにバナナなどの果物、味噌汁にわかめ、納豆とめかぶなど、妊娠中で長時間調理することが難しい方でも簡単に取り入れることができます。

【上質なオイルをプラス】
油は身体に悪いと減らしていませんか?実は油は便をコーティングし、腸をスムーズに通りやすくしてくれます。そのため、極端に油を減らしすぎるのはかえって逆効果です。油のなかでも「オレイン酸」という脂肪酸が腸のぜん動運動を刺激させる効果があり、便秘解消に役立つと期待できます。オレイン酸を含むオイルには、オリーブオイル・紅花油・菜種油・ピーナッツオイルなどがあげられます。おすすめはサラダのドレッシング代わりにオリーブオイルをひとたらし。オリーブオイルの香りが良く、少量の塩とレモン汁をかければ簡単ドレッシングの完成です。

②飲み物

水分不足になると便秘になりがちです。特に妊娠中は血液量が増加したり、汗をかきやすくなったりすることから普段よりも意識してしっかりと水分を摂ることが大切です。1日1~2リットルを目安に、こまめな水分補給を心がけましょう。

【起き抜けの一杯の水】
朝起き抜けに飲むコップ一杯の水は腸を目覚めさせるスイッチになると言われています。空っぽの胃に水分が入ることで腸のぜん動運動が起こり、自然な便意につながります。

【牛乳】
牛乳に含まれる乳糖は、善玉菌のエサとなり、悪玉菌の繁殖を抑え、ぜん動運動を活発にする働きがあります。また、乳糖には周囲から水分を取り込んで便を柔らかくする働きがあります。そのまま飲むことが苦手な方は、果物や野菜と一緒にスムージーにするのもおすすめです。乳糖は温めると分解されてしまうので冷たいまま飲むのが良いでしょう。

③運動やマッサージ

妊娠中もお腹の張りなど不調がなければ適度な運動も効果的です。1日10〜15分程度のウォーキング・マタニティヨガやマッサージもおすすめです。始めるときは、安定期を過ぎてから、もしくは医師に確認してから行うようにしましょう。

今回は妊娠中のマイナートラブルの1つである便秘についてのお話でした。妊娠中の便秘は普段の便秘とは違いホルモンの影響も大きいので、あまりにも改善されない場合は無理せず産婦人科に相談し、場合によっては薬に頼ることも必要です。日ごろの食生活・生活習慣でできることから意識して、重症化させないように気をつけましょう。

(記事監修:管理栄養士 松尾和美)

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