タバコは妊活にも影響がある?妊娠と喫煙
公開日:2022年1月14日
記事監修:管理栄養士 松尾和美
タバコは人体に悪影響を与えることは広く知られていますが、妊活中の喫煙は体内にどのように影響するのか知らない方も多いのではないでしょうか。妊活中の女性はもちろん、パートナーや周りの方もぜひ禁煙していただきたいです。
今回はタバコと不妊の関係についてです。
<目次>
1. 喫煙の健康被害とは?
2. 妊活の第一歩は禁煙!その理由とは?
3. 赤ちゃんへの影響は?
4. 正しい禁煙法を行いましょう
1. 喫煙の健康被害とは?
タバコは体内でどのような悪影響を及ぼし、どのような害があるのでしょうか。
≪タバコの三大有害物質≫
①ニコチン
依存作用があり、タバコをやめられない人が多くいるのはこの物質が原因です。血管を収縮・血流を悪くする作用があり、動脈硬化を促進させます。
②タール
タバコによる黄ばみ(ヤニ)の成分がこのタールです。発がんを促進させる物質が数十種類以上含まれます。
③一酸化炭素
酸素を運ぶ機能を阻害し、酸素不足を引き起こします。また、ニコチン同様に動脈硬化を促進させます
タバコの煙に含まれる有害物質は、吸っている本人は煙(主流煙)をフィルター越しに吸いますが、周りにいる人は直接燃えている煙(副流煙)を吸わされており、がんをはじめ様々なリスクにさらされます。中にはタバコを直接吸っている主流煙を1とした場合、副流煙の中に含まれる有害物質の量が50倍以上に増えるものもあります。
2. 妊活の第一歩は禁煙!その理由とは?
上記で述べた三大有害物質は卵子や精子の質を悪くしてしまうので、喫煙をしている夫婦では不妊症の割合が増加します。具体的には、女性の場合、女性ホルモンの減少・卵子数の減少・閉経が早まるなどの可能性が、男性の場合は、精子数の減少・精子の運動率の低下・奇形精子数の上昇の報告があります。
また、妊娠判明後も異所性妊娠の確率が上がり、さらに流産率については喫煙しない女性の2倍という結果が報告されています。子供が欲しいと考えたら、女性だけでなく男性も早期に禁煙をする必要があります。
3. 赤ちゃんへの影響は?
妊活中はいつ妊娠しても良いように、禁煙は鉄則です。タバコに含まれるニコチンの作用で血管が細くなり、子宮への血液の流れが妨げられて、胎児は栄養不足の状態になってしまいます。
また、ニコチンは胎盤を通過してしまうため、胎児もニコチンの毒にさらされてしまいます。タバコと関連があると言われているものには、胎児奇形・腹膜欠損・生殖器異常などがあげられます。
生まれた後でももちろん禁煙する必要があります。突然前触れもなく死亡してしまう乳幼児突然死症候群(SIDS)の発生率に、家族に喫煙者がいる場合といない場合でなんと4.7倍の開きがあります。その理由として考えられているのは、妊娠中にタバコを吸うと胎児の肺がきちんと形成できず、神経伝達に欠陥が起こりやすいとされており、神経伝達に遅れが出ると呼吸器がうまく働かなくなることがあげられます。
また、乳幼児期、動き回るようになるとタバコの吸い殻を食べてしまう恐れもあります。大人の場合、タバコ2本を全部飲み込んだ場合致死量に達します。体の小さい乳児がタバコを間違えて食べてしまった場合、簡単に致死量に達してしまいます。0歳ごろはなんでも口に入れる時期ですので、危険なタバコは家に置かないようにしましょう。
4. 正しい禁煙法を行いましょう
禁煙は、減らす・軽くする・新型タバコへの変更はNGです。期日を決め、一気に禁煙を開始することが効果的です。禁煙がうまくいかない理由にニコチンが麻薬のように依存性があり、禁煙をすると一定の禁断症状が起きると言われています。一般的に3~7日がピークで、そこを乗り越えると禁煙成功の道が見えてくると言われています。自分だけの力ではうまくいかないときは、病院の禁煙外来を利用しましょう。
1本だけ…甘い誘惑に要注意
禁煙後1週間経ったころ、気が緩むと「1本だけなら良いだろう」という甘い気持ちが出てきます。「1本だけなら」と吸ってしまうと、どれだけ禁煙していても喫煙時の状態に戻ってしまい、今までの努力が無駄になってしまいます。吸いたい気持ちになったときは、飴やガム・歯磨きをする・うがいをするなどで気を紛らわせましょう。1~2分ほど我慢することで、吸いたい気持ちが収まってきます。
イライラしてしまった場合
例えば
・家族(パートナー)と話しながら食事を楽しむ
・体操や散歩など軽い運動をする
・禁煙を決意したときのメモを見る
・生まれてくる赤ちゃんことを想像する
など、あなた自身やパートナーにあった対処法を考えてみましょう。
禁煙中の体重コントロール
禁煙中は口寂しさにより、甘いお菓子や飲料を飲んで紛らわすケースも多く、体重増加の原因になりかねません。また、禁煙することで味覚が変わり、食べ物が美味しく感じられるようになることも体重が増加する一因です。体重コントロールのポイントとして、禁煙開始時と同時に食事制限を行うとストレスが過度にかかってしまい、禁煙が続かなくなる可能性があります。そのため禁煙開始すぐは、食事制限ではなく、ストレッチや軽いウォーキングなどリフレッシュ効果のある運動から始め、禁煙が軌道に乗る開始から1ヵ月程度経ってから、徐々に食事にも気をつけていくと良いでしょう。
口寂しくなったら間食をチャンスに
口寂しいと、甘いものや高カロリーなものを選びがちですが、間食は不足している栄養を摂取できるチャンスととらえましょう。例えば、コンビニで購入できるもので考えてみましょう。
・たんぱく質:サラダチキン・ゆで卵など
・カルシウム:ヨーグルトやチーズなど
・亜鉛:ハイカカオチョコレート・きなこクッキーなど
・葉酸:いちごなど
・ビタミンE:アーモンドなど
上記にあげた栄養素はどれも現代の日本人に不足しがちな栄養素で、特に妊活中に意識して摂りたい栄養素でもあります。禁煙を乗り切りながら賢く間食を選び、妊活中に必要な栄養を補いましょう。
今回はタバコと妊活の関係性や、禁煙の乗り切り法などについて取り上げました。喫煙は自身の健康を害するだけでなく、妊活の妨げになり、胎児や赤ちゃんにとっては最悪命を奪う原因となる、恐ろしいものということがお判りいただけたでしょうか。ぜひ妊活に取り組むご夫婦はこの機会に禁煙をしましょう。
この記事の監修者:松尾和美
保有資格
・管理栄養士
・野菜ソムリエ
・美肌食アドバイザー
・栄養療法ダイエットアドバイザー
・ベジフルビューティーアドバイザー
・ファスティングマイスター
・薬事法管理者
・コスメ薬事法管理者