妊娠中のビタミンD不足に注意!不足のリスクと効率の良い摂り方
公開日:2022年5月11日
記事監修:管理栄養士 松尾和美
近年、ビタミンD不足の妊婦さんが増え問題視されています。ビタミンD欠乏症は早産などのリスクが高まるとも言われているため、しっかりと摂る必要があります。今回は妊娠中のビタミンD摂取の大切さと働き、そしてビタミンDが多く含まれる食材や吸収率が上がる食べ方についてお伝えします。
ビタミンD不足について
妊娠中に摂りたい栄養素として、葉酸や鉄などはよく言われるため意識して摂っている、という方も多いのではないでしょうか。しかし、他にも大切な栄養素がいくつかあります。その1つが今回のテーマであるビタミンDです。近年の調査によりますと、なんと妊婦さんの約半数がビタミンD不足に陥っているというデータがあります。
ビタミンDの働きとは。不足するリスクは?
骨や歯を丈夫にするのにカルシウムが必要なのは有名ですが、実はビタミンDも骨を丈夫にするために重要な栄養素です。ビタミンDを摂ると、肝臓と腎臓を通って活性型ビタミンDに変わります。そしてこの活性型ビタミンDが、カルシウムなどで構成される骨や歯の発育を促進します。また、小腸でのカルシウムとリンの吸収を促進させて血液中に存在するカルシウム濃度を一定に調整し、神経伝達や筋肉の動きを正常化します。近年、ビタミンDは免疫力を高めたり、うつの予防に関わっているという研究結果も報告され注目されています。
ビタミンDが十分にあると骨や歯の発育を促すことが期待できるのに対して、ビタミンDが不足する場合はその逆で骨や歯がもろくなりやすくなります。具体的には骨粗しょう症、くる病、骨軟化症などです。骨粗しょう症は骨自体がスカスカになって骨折しやすくなります。くる病・骨軟化症は骨の強度が弱くなる病気で、子どもがかかるとくる病と呼び、大人がかかると骨軟化症と呼びます。おなかの中で赤ちゃんを育てているママは特に栄養素をたくさん必要とするため、しっかりと自分の健康を維持するためにもビタミンDは摂る必要があるのです。
妊娠中のビタミンD不足のリスクとは
妊婦さんがビタミンD不足になると、早産や低出生体重児の原因となったり、感染症のリスクを高めるなどと言われています。特に若い女性はやせ願望が強い傾向にあり、ママ自身が低体重であることに加えてビタミンD不足となると、より早産や低出生体重児のリスクも高まります。低出生体重児で生まれた赤ちゃんは、将来的に生活習慣病にかかりやすくなるとも言われているため注意が必要です。ママが摂る栄養がおなかの赤ちゃんの成長にも大きく関わってくるので、バランス良く食べることはもちろんですが、葉酸や鉄と同様に妊娠中は特にビタミンDもしっかりと摂りましょう。
ビタミンDをしっかりと摂る食生活を
妊婦さんのビタミンD不足は、しっかりバランスの良い食事を摂れていないことに加えて、過度な紫外線対策をする女性が増えたことなどが原因と言われています。ビタミンDの多く含まれる食材をご紹介するので、効率良く取り入れビタミンD不足を解消しましょう。
ビタミンDが多く含まれる食材
ビタミンDの必要量は、日本人の食事摂取基準2020より、18~29歳、30~49歳の女性の1日の目安量は8.5μgです。現状はこの目安量を摂れていない女性が多いという調査結果があります。
ビタミンDはきのこ類、魚介類、卵類、乳製品に多く含まれています。特にきのこ類は日干しするとぐっと量が増えるので、干ししいたけなどおすすめです。他にも舞茸、エリンギ、しめじなどもビタミンDは多く含まれています。きのこ類は鍋料理に入れたり、味噌汁の具材にしたり、炊き込みご飯にしてもおいしいですよね。和食にも洋食にも合いアレンジしやすい食材なので、毎日食べることを意識してください。また、きのこ類は食物繊維が豊富で低カロリーなので、妊娠中の便秘が気になるママや妊娠中の体重コントロールをしたいママにも大変おすすめです。
次に、魚介類ではかつお、鮭、しらすなどに多く含まれています。妊娠中は、生食はトキソプラズマのリスクがあるためおすすめしませんので、必ず魚介類は加熱したものを食べてください。かつおは焼いてポン酢などのさっぱりした調味料をかけて食べたり、鮭は焼いてほぐして食べやすくおにぎりにして冷凍ストックしておいても便利ですね。しらすもおにぎりの具材に使ったり、青菜と一緒に炒めたりと様々活用できます。
卵類にも多く含まれるので、オムレツ、卵焼きなどはもちろん、ゆで卵にして醤油漬け卵を作ってストックしておけば、さっと食べることができます。また忙しい時は市販の水煮卵も活用すると、時短でビタミンDが摂れますね。
ビタミンDの吸収率を上げる食べ方
ビタミンDは脂溶性ビタミンです。炒め物や揚げものなど、油と一緒に調理して食べることで吸収率が上がります。ドレッシングからオイルを摂取するのもおすすめです。ただし妊娠中でつわりがある場合や、脂っこいものを食べると胃がもたれる場合は、様子を見ながら調理するようにしてください。
日光を浴びることも大切
食べ物でビタミンDを摂る方法についてご説明しましたが、実はそれ以外でも体内でビタミンDを作ることができる方法があります。それは日光浴です。前述した通り、過度な紫外線対策でもビタミンD不足となるのです。ただし長時間当たる必要はなく、目安として1日15~30分程浴びれば十分です。夏は特に日差しが強く、照り返しなどもあるので、水分をしっかり摂りつつ体調管理に気をつけながら日光浴をしてください。
一方で冬場は寒くてなかなか外を歩くのが億劫になりますが、日光を浴びることはうつ病予防にも効果があると言われており、妊娠中はホルモンバランスによって落ち込みやすい時でもあるので、少しの時間でも外に出て日光を浴びるようにしてくださいね。
妊娠中に摂ると良い栄養素として、葉酸や鉄などは産婦人科で指導を受けることが多いのですが、ビタミンDについては指摘を受けることが少ないかもしれません。しかし妊娠中のビタミンD不足は骨や歯が弱くなるだけではなく、生まれてくる赤ちゃんの予後にも影響するため、意識してきのこや魚介類、卵類など食べて、しっかりと補給してくださいね。そして適度に日光に当たったり、食事だけで摂れない場合はビタミンDのサプリメント等もうまく活用してください。
この記事の監修者:松尾和美
保有資格
・管理栄養士
・野菜ソムリエ
・美肌食アドバイザー
・栄養療法ダイエットアドバイザー
・ベジフルビューティーアドバイザー
・ファスティングマイスター
・薬事法管理者
・コスメ薬事法管理者