産後ママのお悩みNo.1!母乳とミルクどちらで育てるのが良いの?
公開日:2022年1月26日
記事監修:管理栄養士 松尾和美
産後のママのお悩みの代表といえば、赤ちゃんを母乳で育てるか、ミルクで育てるか。母乳で育てないと赤ちゃんがかわいそう?ミルクの方がきちんと調整されているので栄養価が高い?など周りの声もあり、ママたちは悩まれると思います。今回は管理栄養士が母乳とミルクの栄養について解説します。
母乳とミルクの違いとは?
昨今、母乳育児が推進される傾向がありますが、母乳とミルクでは赤ちゃんに与える影響はどのように違うのでしょうか?母乳育児を意識しすぎるあまり、ストレスを感じているママもいるかもしれません。母乳とミルクの違いを見ていきましょう。
母乳特有の栄養成分とは?
ミルクと比べて母乳には、「免疫物質」「オリゴ糖」「ラクトフェリン」などが多く含まれています。特に出産後の10日以内に出る初乳には免疫物質が多く含まれているため、初乳を飲ませることで、赤ちゃんを外のウイルスや菌から守ってくれる働きがより期待できます。オリゴ糖は特定保健用食品としても販売されている成分で、腸内細菌のえさになり、善玉菌を増やすと言われています。ラクトフェリンとは腸内環境の改善に期待できる成分と言われており、フェリンという名前の通り鉄とたんぱく質がくっついたものです。母乳育児での懸念としては、ママの食生活がベースとなるため、ママの栄養状態が悪いと出なくなってしまうことや、一般的に「ビタミンK」が不足しやすいと言われています。赤ちゃんの状態によっては、ビタミンKのシロップを病院から処方されることもあるようです。
ミルク特有の栄養成分とは?
ミルクはビタミンやミネラルなどの栄養素全般が不足とならないように、きちんと調整されています。また離乳食が始まった頃に起こりやすい赤ちゃんの鉄の不足についても、ミルクでは母乳に比べて鉄を多く混ぜているため安心だと言えます。しかし、鉄は吸収率の差がある栄養素の1つですので、一概に母乳育児は鉄不足になり、ミルク育児だと鉄不足にならないと言い切れるわけではありません。
母乳とミルクの3大栄養素の比較
厚生労働省の資料より、母乳とミルクの3大栄養素の比較について抜粋しました。
・母乳(100ml当たり)
エネルギー66kcal、たんぱく質1.7g、脂質5.4g
・ミルク(100ml当たり)
エネルギー66〜68kcal、たんぱく質2.2〜2.4g、脂質5.2〜5.4g
ミルクはさまざまなメーカーから販売されていますが、メーカーによってややばらつきが見られます。平均的なミルクの成分と母乳の成分を比較してみると、たんぱく質量に関してはミルクの方が母乳よりもやや多いですが僅差で、エネルギー量や脂質量はほぼ同量ということがわかりました。日本乳業協会によりますと、ミルクの原材料は牛乳で、牛乳そのものにさらに必要な栄養素を足したり、逆に過剰な栄養素は減らしたりと調整して、母乳の成分に可能な限り近づけて作られていると言われています。結論としては、3大栄養素に関しては母乳もミルクもほぼ同じだと言って良いでしょう。
母乳もミルクも両方の良いところ取りが一番良い?
ここまでで、母乳とミルクの栄養成分について、どちらにも良さがあることがわかっていただけたかと思います。結論としまして、一番良いのはママのストレスがかからない方法で、可能であれば両方を使い分けることです。母乳とミルクの両方を使い分けることで、栄養面でよりバランスが良くなり安心ですし、ママはパパやおじいちゃん、おばあちゃんなど家族や、シッターさんなどに赤ちゃんを預けることもしやすいため、ホルモンバランスが崩れやすく精神的にも大変な産後に一人で抱え込まなくて済むため安心ですよね。またママが体調を崩してしまい、薬を飲まなくてはならないときも、赤ちゃんがミルクを飲んでくれるのであれば母乳への薬の移行を気にせずに済みます。最近では0歳児で保育園に預けて仕事復帰をするママも増えているため、保育園にいる間はミルクを飲んでくれれば、ママは搾乳する手間が省けて忙しい朝に助かりますよね。
産後のママの母乳で育てるか?ミルクで育てるか?のお悩みを突き詰めると、まわりから母乳で育てないとだめ、などと言われることでママ自身がひどく落ち込んだり、母乳で育てようと頑張りすぎてしまうあまり、ママ自身が疲れ切ってしまうことではないでしょうか。客観的に見ると、ミルクは安定した栄養バランスが含まれており、赤ちゃんを預ける時にも安心ですので、ミルクで育てることはメリットが大きいです。可能な範囲で母乳を赤ちゃんに与えつつ、ミルクも活用してみてはいかがでしょうか。
この記事の監修者:松尾和美
保有資格
・管理栄養士
・野菜ソムリエ
・美肌食アドバイザー
・栄養療法ダイエットアドバイザー
・ベジフルビューティーアドバイザー
・ファスティングマイスター
・薬事法管理者
・コスメ薬事法管理者