コラム

産後ケアにおすすめ、体の回復のために食べたい秋冬の食材

公開日:2023年11月22日

記事監修:管理栄養士 松尾和美

産後の体は交通事故に遭ったのと同じくらいのダメージを受けていると、聞いたことがありますか?帝王切開での出産に関しては物理的な傷がつくため、イメージしやすいかもしれません。普通分娩でも見た目は一見普通に見えますが、体は相当なダメージを受けています。どちらの場合も回復するまでに半年以上もかかると言われています。今回は、まさに今産後の方にも今後出産予定の方にも知っておいていただきたい、管理栄養士おすすめ、産後の体の回復のために食べたい旬の食材をご紹介します。

産後ケアに摂りたい栄養素別おすすめの食材

産後の体の回復に欠かせない栄養素はいくつかありますが、特に必要な栄養素「たんぱく質」「葉酸」「鉄」「ビタミンC」が豊富な、秋冬のおすすめ食材をご紹介します。冬の時期に旬を迎える食材は多く、1年中出回っているほうれん草や小松菜も実は冬野菜です。いつでも手に入る食材でも、旬の時期に収穫されたものの方が風味は良く、栄養素も多く含まれています。下記を参考に、ぜひ日々の献立づくりにお役立てください!

たんぱく質

たんぱく質は3大栄養素の1つで、私たちの体を作る栄養素の中でも基本中の基本です。筋肉・肌・髪・血液・ホルモン・酵素など、あらゆるものはたんぱく質を原料としてできているため、体の回復に最も必要な栄養素と言えます。たんぱく質の産後の必要量は1日当たり70gです。推奨量である50gに、授乳期は+20gした量となります。母乳育児をしている方は、特に意識してこの量をしっかり摂れるようにしていただくと良いでしょう。

<おすすめ食材>
・ぶり
ぶり100g当たりに含まれるたんぱく質は21.4gです。ぶりには、天然ぶりと養殖ぶりがあります。養殖ぶりは1年を通して食べることができますが、天然ぶりは秋冬が旬で、脂が乗ってより一層美味しく食べられます。ぶりはたんぱく質が豊富に含まれているので、産後の回復のために美味しく食べたいですね。

・牡蠣
牡蠣100g(殻むき)当たりに含まれるたんぱく質は6.9gです。岩牡蠣は夏頃が旬となりますが、一般的によく知られている真牡蠣の旬は秋から春先にかけてです。牡蠣にはたんぱく質が含まれているだけではなく、皮膚の健康を保つミネラルである亜鉛も含まれているので、美肌が気になる方にも食べていただきたい食材です。産後はまだ免疫力が落ちているため、しっかり加熱してから食べましょう。

葉酸

葉酸はビタミンB12とともに赤血球の生産を助ける水溶性のビタミンです。妊娠中に摂るイメージがあるかもしれませんが、葉酸は代謝にも必要で、DNAやRNAなどの生合成を促進し、細胞の生産や再生をサポートする力があります。そのため産後にボロボロになった体の回復には、欠かせない栄養素と言えます。葉酸の産後の必要量は1日当たり340μgです。

<おすすめ食材>
・ほうれん草
ほうれん草100g当たりに含まれる葉酸は210μgです。ほうれん草には葉酸以外にも、産後積極的に摂りたい鉄やビタミンCも含まれるため、まさに産後に食べたいベスト食材の1つと言えます。

・小松菜
小松菜100g当たりに含まれる葉酸は110μgです。小松菜には、ほうれん草と同様に鉄やビタミンCも含まれます。

・ブロッコリー
ブロッコリー100g当たりに含まれる葉酸は120μgです。ブロッコリーはビタミンCも豊富です。

上記の野菜は和風にも洋風にも幅広く使うことができます。葉酸は水溶性なので茹でると茹で汁に流れていってしまうので、電子レンジ調理やスープにして、葉酸を無駄なく摂る工夫をしましょう。

鉄は体中に酸素を運搬する働きがあります。体の中にある鉄のうち、約6割は血液中のヘモグロビンの構成成分となっており、このヘモグロビンに酸素を乗せて体中に運搬するため、鉄が不足すると酸素が行き渡らず鉄欠乏性貧血になります。特に母乳育児をしている方は、母乳=血液を赤ちゃんに与えるため、より貧血になりやすいので意識して摂りたい栄養素です。鉄の産後の必要量は1日当たり13mg(月経再開後)です。

<おすすめ食材>
・ほうれん草
ほうれん草100g当たりに含まれる鉄は2mgです。ほうれん草に含まれる鉄はビタミンCと一緒に摂ることで吸収率が上がるため、例えばビタミンCが豊富なパプリカなどと一緒に炒めたり、食後にフルーツを摂るようにしましょう。

・小松菜
小松菜100g当たりに含まれる鉄は2.8mgです。一般的には鉄が含まれる野菜と言えばほうれん草が有名ですが、実はほうれん草よりも小松菜の方が、鉄が多く含まれています。小松菜に含まれる鉄はほうれん草と同様に、ビタミンCと一緒に摂ることで吸収率が上がるため、組み合わせて食べていただくと良いですね。

ビタミンC

ビタミンCはコラーゲンと鉄の吸収に欠かせない水溶性のビタミンです。ビタミンCが不足すると、血管がもろくなり出血を起こしたり、必要な鉄が十分に体へ吸収されずに鉄欠乏性貧血になりやすくなります。ビタミンCはストレスや風邪でも消耗しやすく、しっかりと摂ることで免疫力を高める働きもあるため、産後のストレスや風邪などの予防にも欠かせない栄養素です。ビタミンCの産後の必要量は1日当たり145mgです。

<おすすめ食材>
・ブロッコリー
ブロッコリー100g当たりに含まれるビタミンCは120mgです。旬の食材の中で、特にビタミンCが多く含まれる野菜と言えます。水溶性ビタミンであるビタミンCを余さず食べるためには、炒めたり電子レンジで調理する方が良いでしょう。

・ほうれん草
ほうれん草100g当たりに含まれるビタミンCは28.1mgです。茹でるよりも炒める方が本来は食材の中に栄養が残りやすいのですが、一方でほうれん草に含まれるシュウ酸は胆石症の原因となるため、茹でて茹で汁を捨ててから食べていただくと良いでしょう。アクの少ないサラダほうれん草は、生食として食べられるのでおすすめです。

・小松菜
小松菜100g当たりに含まれるビタミンCは39mgです。ほうれん草と同様に小松菜にもシュウ酸は含まれるものの、微量ですので基本的にはそのまま炒めて食べていただいても良いでしょう。

・白菜
白菜100g当たりに含まれるビタミンCは19mgです。他の野菜に比べるとややビタミンCの含有量は少ないですが、秋冬に食べたい鍋料理にピッタリな食材であること、鍋料理であれば加熱されてかさが減るためたくさんの量を食べられることから、大変おすすめの食材です。さらに鍋料理であれば汁もそのまま食べられるので、ビタミンCを余すことなく摂取できます。スープや味噌汁の具材としてもおすすめです。

・大根
大根100g当たりに含まれるビタミンCは12mgです。大根も白菜と同様に、他の野菜に比べるとややビタミンCの含有量は少ないですが、秋冬に食べたいおでんや煮物・鍋料理・味噌汁の具材にもピッタリで、1本買っておけばいろいろな料理にして食べることができます。さらにカリウムも多いため、むくみが気になる方におすすめです。

いかがでしたでしょうか?産後、特に母乳育児をしている方は赤ちゃんに自分の血液を与えているので、自身で思っている以上に栄養が必要です。旬の食材はその他の時期に摂れるものと比べて栄養価が特に高く、出回る量も多く比較的安価であることが多いため、毎日でも食べやすいですよね。しっかりと栄養を摂って回復に努めていただきたいです。

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この記事の監修者:松尾和美

保有資格

・管理栄養士
・野菜ソムリエ
・美肌食アドバイザー
・栄養療法ダイエットアドバイザー
・ベジフルビューティーアドバイザー
・ファスティングマイスター
・薬事法管理者
・コスメ薬事法管理者

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