コラム

毎日の食事で花粉症対策!花粉症と食事の関係性

公開日:2022年4月2日

記事監修:管理栄養士 松尾和美

暖かい日が増えてお出かけしやすい気候になってきた一方で、花粉症の人には辛いシーズンがやってきました。近年では食べ物や食事法が花粉症と関係があることが明らかになっています。毎日の食事の工夫で少しでも症状が和らいだら嬉しいですよね。どんな食材が良いのか見ていきましょう。

花粉症のメカニズムとは?花粉症患者が増えている原因

花粉症は、体の中に入ってきた花粉を有害なものだと誤認識してしまうことで免疫機能が働いてしまい、その結果、鼻水やくしゃみ、目のかゆみや充血などが起こってしまいます。また、花粉症のほかにダニなどのアレルゲンによって引き起こされる鼻炎は、通年性アレルギー性鼻炎と呼ばれ、最近は複数の花粉に反応する花粉症と通年性アレルギー性鼻炎どちらにも症状が出ることにより、一年中鼻水や目のかゆみに悩まされている人も増えています。
今、日本人の3人に1人が花粉症にかかっていると言われています。どうして花粉症の方が増えているのでしょうか?日本での花粉症は代表的なスギ花粉のほか、ブタクサ・イネ・マツ・ヨモギなどがあります。花粉症の約70%はスギ花粉症だと推察されていますが、これは日本の国土に占める杉林の面積が大きいためです(全国の森林の18%をスギが占めています)。世界的な温暖化の影響で、今後さらに花粉飛散数の増加が予想されています。
また、花粉症患者の増加傾向の原因として考えられているものの一つに、ウイルスの少ない衛生的な環境になっていることで、アレルギー反応を起こしやすくなるという、【衛生仮説】というものがあります。さらに、近年の住環境の変化も要因の一つとみられています。気密性の高い住居に住むようになったことでカビやダニが繁殖しやすく、それが原因とも考えられています。

花粉症と一緒に増加している果物アレルギー・野菜アレルギー

果物アレルギー・野菜アレルギーとは、果物や野菜を食べたときに口の中が腫れたり、かゆみが出たりする症状です。口腔アレルギー症候群(OAS:果実野菜過敏症)と言われており、特殊な食物アレルギーの一種に分類されています。近年、この口腔アレルギー症候群が増加しています。その理由は、花粉アレルギーの増加により、花粉と同じ構造のアレルゲンを持つ果物や野菜で、アレルギー症状を起こすケースが増えているためです。厚生労働省では、アレルギー症状を引き起こす特定原材料に準じる20品目に、キウイフルーツ・モモ・ヤマイモ・リンゴ・バナナなどを挙げ、できる限り表示するよう推奨しています。

【主な花粉と似た構造のアレルゲンを持つ果物・野菜】

■シラカバ・ハンノキ
バラ科:リンゴ・西洋ナシ・サクランボ・モモ・あんずなど
セリ科:セロリ・人参
ナス科:ジャガイモ
マタタビ科:キウイフルーツ
ウルシ科:マンゴー

■ブタクサ
ウリ科:メロン・スイカ・ズッキーニ・キュウリ
バショウ科:バナナ

■ヨモギ
セリ科:セロリ・人参
ウルシ科:マンゴー

■イネ
ウリ科:メロン・スイカ
ナス科:トマト
マタタビ科:キウイフルーツ
ミカン科:オレンジ

例えば、ブタクサのアレルギーを持っている人が必ずスイカやメロンを食べるとアレルギー反応を起こすというわけではありませんが、たくさんの量を食べるとアレルギー反応が出る可能性もあります。まずは、果物を食べたときにかゆくなったり、舌がひりひりとするような違和感がある場合には、食べるのを控えると良いでしょう。また、生だとアレルギーが起こりやすいですが、加熱することによってアレルゲンが変化して、アレルギーが起きないこともあります。

花粉症対策に摂りたい食べ物

キーワードは腸活です。腸は免疫システムの60%が存在すると言われています。腸内環境を整えて免疫力をアップすることが、花粉症対策になると期待されています。また、規則正しい生活習慣で免疫システムを整えることも、花粉症対策になります。花粉症対策として積極的に摂りたい食べ物をご紹介します。

①ヨーグルト

乳酸菌やビフィズス菌が多く含まれているヨーグルトには、腸内環境を整える働きがあります。心がけたいことは、エサとなる水溶性食物繊維やオリゴ糖などを一緒に摂ることです。きなこやはちみつ・バナナなどと一緒に摂ることで乳酸菌を増殖させて、より効果が期待できます。善玉菌を育てる食材(オリゴ糖など)を「プレバイオティクス」、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌そのものを「プロバイオティクス」、その二つを組み合わせて同時に摂ることを「シンバイオティクス」と言い、二つを組み合わせることで、より効果が期待できます。また、一度にたくさんの量を摂るよりも、毎日習慣的に取り入れていくことがより効果的です。

②食物繊維が豊富な食材

きのこ類やゴボウなどの根菜類・海藻など、食物繊維が豊富な食材は、腸内環境を整える働きがあります。根菜類の中でもれんこんには、ポリフェノールの成分で、アレルギーを抑える効果と免疫を活性化する効果があるタンニンが含まれます。

③青魚

青魚に含まれる脂質は、α―リノレン酸のエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)で、免疫の働きを正常にしてアレルギー症状を抑える働きを持っています。EPAやDHAを有効に取り入れるには、生魚が効果的です。鮮度の良い刺身や寿司を摂るようにしましょう(ただし、妊娠中の方は必ず火を通してください)。

④ビタミンD

ビタミンDは腸のカルシウム吸収を促し、骨を丈夫にするビタミンとして知られていますが、免疫を調整する働きもあります。ビタミンDが不足すると、花粉症のようなアレルギー症状が起きやすくなると言われています。ビタミンDが豊富な食品は、干しシイタケ・干しきくらげ・いわし・しらすなどです。また、食事だけでなく、太陽光(紫外線)を浴びることで体内のビタミンDが作られます。

腸活には和食がおすすめ!

花粉症の症状に悩まされる人が増加していることから、様々な花粉症に良いとうたった食べ物や飲み物が出回っています。ただし食べ物の効果は人によって異なり、薬と違い即効性があるものではありません。厚生労働省の調査によると、花粉症に良いとされる食べ物・飲み物・サプリメントを試した人で、その効果を実感できた人はごく一部であった、という結果も出ています。
内側から花粉症対策をするには、昔ながらの和食がおすすめです。善玉菌を増やす食物繊維や発酵食品が豊富に含まれています。現在の食生活は洋食中心の食事、ファストフードの普及により毎日の食事で善玉菌を増やす機会が減っています。免疫力が低下している背景には、私たちの食生活が変化していることも一つの要因と言えるのです。ご飯・味噌汁に青魚・野菜の煮物という、昔ながらのシンプルな和食を中心とした食生活を継続することで、腸内環境が改善し、免疫力が高まる効果が期待できます。

 

近年、私たちの食生活パターンの変化や、私たちを取り巻く環境の変化により、花粉症の症状は増加しています。花粉症は免疫機能と大きな関係性があり、免疫機能は食事を整えることで改善が期待できます。バランスの良い食生活を心がけることはアレルギー予防の観点だけでなく、健康的な生活をおくるためにもとても重要なことです。日常生活に支障が出るほどの症状に悩まされる場合は、病院で相談してみてください。日常の食生活を見直して、腸内環境を改善する食事を心がけていきましょう。

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この記事の監修者:松尾和美

保有資格

・管理栄養士
・野菜ソムリエ
・美肌食アドバイザー
・栄養療法ダイエットアドバイザー
・ベジフルビューティーアドバイザー
・ファスティングマイスター
・薬事法管理者
・コスメ薬事法管理者

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