コラム

妊娠中のお悩み!“こむら返り”のときのおすすめの食事

公開日:2022年3月19日

記事監修:管理栄養士 松尾和美

妊婦さんなら一度は経験したことがあるかもしれない『こむら返り』。普段に比べて、妊娠中にこむら返りになりやすいと言われていますが、その理由とは?また、ならないためにどのような食事に気を付けると良いでしょうか?管理栄養士が解説します。

妊娠中に“こむら返り”になりやすいのはなぜ?

妊娠中のこむら返りの原因はいくつかあると言われていますが、まず妊娠すると赤ちゃんをお腹の中で育てるためにお母さんの身体の中の血液量が増え、さらに脂肪等も蓄えるために全体的に体重が増えます。身体を支える下半身に必然的に負担がかかります。そして子宮が大きくなり、圧迫されて下半身へ血液が流れにくくなります。下半身の血流の滞りがこむら返りの原因のひとつと言われています。
また、お腹の赤ちゃんへ優先的に栄養素を送るため、お母さんの身体はビタミンやミネラル不足になりやすくなります。ミネラルの中でも特にマグネシウム、カルシウム、カリウムの不足がこむら返りの原因とも言われています。
血流が悪くなりやすい妊娠中だからこそ、血行促進が期待できる栄養素を摂取することが必要と言えます。

こむら返りにならないために!おすすめの食事

こむら返りを予防するために食事面からできることは①たんぱく質 ②ビタミンE ③マグネシウム ④カルシウム ⑤カリウム がたっぷり摂れる食事をすることが大切です。それぞれの栄養素が摂れるおすすめの食材をご紹介します。

①たんぱく質

血液の材料はたんぱく質です。日本人の食事摂取基準2020より、非妊娠時は成人女性は1日50g(18~29歳、30~49歳ともに推奨量50g/日)のたんぱく質が必要です。これを基準として、妊娠中期に+10g(計60g)、妊娠後期には+25g(計75g)を追加して摂ることを定めています(推奨量)。
たんぱく質をまずはしっかりと摂る事が血流を意識した食事の第一歩です。肉・魚・卵・豆腐や納豆などの大豆製品などを毎食食べましょう。目安としては、妊娠初期はご自身の手の平にこんもりと乗るくらい、妊娠中期はその1.2倍、妊娠後期はその1.5倍です。特に赤身肉や魚の血合いは、鉄の中でもヘム鉄が豊富で体への吸収率が高く、優れた食品です。
妊娠すると赤ちゃんを育てるためにお母さんの身体の中で作られる血流量が増えますが、その分血液の濃さは量に反比例して薄くなり貧血になりやすいため、まずはたんぱく質と鉄をしっかりと摂り、濃度の濃い血液を保つことが重要です。

②ビタミンE

ビタミンEは強い抗酸化作用を持つ栄養素で、若返りのビタミンと言われています。そして、こむら返りの予防に欠かせない血行促進も期待ができます。日本人の食事摂取基準2020より、非妊娠時には1日に5.0~5.5mg(8~29歳女性で5.0mg、30~49歳女性で5.5mg)のビタミンEが必要ですが、妊娠初期~後期には1日6.5mgが必要だと定められています。
ビタミンEは、アーモンドなどのナッツ類、かぼちゃ・モロヘイヤ・卵などに多く含まれます。ただしビタミンEは脂溶性ビタミンで体内に蓄積しやすいため、過剰摂取にならないように注意してください。

③マグネシウム

マグネシウムは数百種類以上の酵素を活性化したり、筋肉の収縮や神経情報の伝達、体温・血圧の調整などに関与する栄養素です。不足すると骨の形成に影響が出るほか、不整脈や虚血性心疾患、高血圧、筋肉のけいれんを引き起こします。日本人の食事摂取基準2020より、非妊娠時は1日270~290mg(18~29歳女性で270mg、30~49歳女性で290mg)、妊娠初期~後期には+40mg(計310~330mg)が必要と定められています。
マグネシウムはあおさ・わかめ・干しエビ・豆腐など大豆製品に多く含まれているため、妊娠中は可能であればこれらを毎日摂ることをおすすめします。

④カルシウム

カルシウムの99%は骨や歯に存在しますが、1%は血液や神経、筋肉に存在しています。この1%のカルシウムが血液の凝固、筋肉の収縮などに関与します。カルシウムが十分に摂れない場合、骨や歯に蓄えてあるカルシウムを溶かして血液や神経、筋肉に使用するため、不足しないように気をつけなければ特に女性は骨粗しょう症のリスクが上がります。日本人の食事摂取基準2020より、非妊娠時も妊娠時も推奨量は一定で、18〜29歳・30〜49歳女性ともに1日650mgと定められています。
カルシウムは牛乳や乳製品(チーズ・ヨーグルトなど)、大豆製品、骨ごと食べられる小魚などに多く含まれています。特にチーズはプロセスチーズ25g当たり158mgのカルシウムが含まれており、手軽にカルシウムが摂れるのでおすすめです。妊娠中はナチュラルチーズはリステリア菌の感染を防ぐために控え、プロセスチーズを食べましょう。

⑤カリウム

カリウムは体液の浸透圧を決定したり、神経や筋肉の伝達にも関与する栄養素です。日本人の食事摂取基準2020より非妊娠時も妊娠時も一定で、1日2000mgを目安に摂ることが定められています。
カリウムはバナナ・メロン・キウイなどの生のフルーツや、ドライマンゴー・ドライバナナなどのドライフルーツ、アボカドや枝豆、小松菜などに多く含まれます。ドライフルーツのように水分が飛んで栄養素が詰まっているものだと少量で栄養素が摂りやすく持ち歩きやすいので、おやつにもおすすめです。カリウムは水溶性なのでフルーツのようにそのまま手を加えずに食べる食べ方や、野菜ならば煮汁まで丸ごと食べられるようなスープ、鍋料理などがおすすめです。
ただし腎臓の機能が低下している場合はカリウムの制限が必要なので、個人の判断で行動せず必ずかかりつけ医の指示に従ってください。

 

妊娠中は今回のテーマであるこむら返りをはじめとするマイナートラブルがどうしても発生しやすいです。
しかし食事を意識することでマイナートラブルを予防することが期待できるため、毎日できることから少しずつ意識し実践してみてください。
つわりなどで食事から栄養を摂ることが難しい場合は、適切にサプリメントも活用してみてください。

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この記事の監修者:松尾和美

保有資格

・管理栄養士
・野菜ソムリエ
・美肌食アドバイザー
・栄養療法ダイエットアドバイザー
・ベジフルビューティーアドバイザー
・ファスティングマイスター
・薬事法管理者
・コスメ薬事法管理者

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